人権対応で選別、道路機械メーカーが調達先に証明書求める狙い
酒井重工業は建設機械部品や資材の大口サプライヤーを対象に人権上のリスクが存在しないことを示す証明書の提出を2022年度から求める方針だ。中国やミャンマーなどの人権抑圧行為に対して、欧米諸国などの非難の声が強まっていることに対応。人権リスクがないと証明できる企業とのみ取引することにより、自社商品の輸出にも追い風となる。
酒井重工業は鋼材や物流費の値上がりに対応してサプライチェーン(供給網)の見直し作業を始めている。その検討テーマに人権リスクや地政学リスクを新たに加えた。
綿花やコーヒーなどの農産物と違って建機資材の鋼材や電子部品、プラスチックではこうした問題が発生する可能性は低いが、証明書を出させることでチェック体制を内外に示す狙いがある。建機部品や資材サプライヤーは数百社あり、当初は主要部品や大口部品を扱う主力サプライヤーに証明書提出を求め、徐々に小口サプライヤーにも拡大する方針。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が21年11―12月に実施した調査(1745社回答)によると、海外ビジネスへの関心が高い日本企業のうち、「人権尊重の方針を策定している」と答えた企業は38・1%だった。また人権尊重の方針を持つ企業の65・4%が、国内外の調達先に自社方針への準拠を求めていることも明らかになった。
日刊工業新聞2022年2月16日