東大が開発、洗濯しても落ちにくい抗菌コーティングの仕組み
東京大学のジョセフ・ジェイコブ・リチャードソン博士研究員と江島広貴准教授らは、洗濯しても落ちにくいポリフェノールの抗菌コーティングを開発した。タンニン酸と銀イオンで繊維をコーティングして抗菌性や抗ウイルス性を持たせる。漬け込んだり、スプレーで簡単にコーティングできる。衣類などのコストや製造技術に制約のある分野に提案していく。
タンニン酸と銀イオンを混ぜると錯体を作る。これを繊維に厚さ10ナノメートル(ナノは10億分の1)程度でコーティングした。見た目は無色透明で繊維や生地の色合いを損なわない。動物性繊維の絹、植物性繊維の綿、化学繊維のポリエステルによく付着し、洗濯に10回耐えることを確認した。
大腸菌や黄色ブドウ球菌で抗菌性、脇のにおいで消臭効果、モデルウイルスを使った抗ウイルス性を確認した。ウイルスの活性を示す感染価は100分の1以下に下がった。徐々に銀イオンが溶出するため抗菌性が長続きすると考えられる。
日刊工業新聞2022年2月9日