衛星活用で完全自動運転、日本農業を救うか
福島高専など実証
福島工業高等専門学校(福島県いわき市)とエイブル(福島県広野町)、大和田測量設計(同)、アリスマー(東京都港区)は、準天頂衛星システム「みちびき」を利用した電気自動車(EV)の完全自動運転の実証を5日行う。ドローンで作成した高精度の3次元(3D)地図をデータベース化して1人乗りEVに搭載。出発地点から目的地点までの最適ルートを算出して移動する。将来、農業分野に応用し自動運転トラクターの開発などを視野に入れる。
完全自動運転の実証は内閣府の2021年度実証事業に採択されており、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)で公開して行う。福島高専の芥川一則教授をプロジェクトリーダーとして実施する。
レーザースキャナーを搭載したドローンで「Marhy・3D・Map(機械可読高精度3次元地図)」を作成してEVに搭載する。この3D地図にみちびきの測位情報なども付加して人工知能(AI)が最適ルートを選ぶ。移動時にカメラセンサーなどを使わずに完全自動運転を実証する。車両は村上商会(東京都目黒区)が開発した1人乗りEVを使用する。
福島高専は3社と一体で事業化への具体的な検討を進める。最大ターゲットは農業分野で、稲作でトラクターが倉庫から水田まで移動し、完全自動で田植えをするといった利用シーンを想定する。
芥川教授は「若手が不足する農作業に人が要らなくなり、高い生産性を実現できる。日本農業の収益基盤拡充に貢献できる」とし、スマート農業に貢献するシステムとして実用化を目指す。
連携する3社はそれぞれに3次元画像や、制御系のプログラミングチップ販売などで事業化を狙う。
日刊工業新聞2022年2月4日