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トヨタAI新会社CEO・ギル・プラット氏に直撃!グーグルに勝てますか?

将来、モノづくりとデータ活用への投資額が逆転することもありえる
トヨタAI新会社CEO・ギル・プラット氏に直撃!グーグルに勝てますか?

プラット氏

 米国防高等研究計画局(DARPA)でプログラムマネージャーを務めたギル・プラット博士が、1月からトヨタ自動車で人工知能(AI)を研究する新会社「TRI」の最高経営責任者(CEO)に就任する。プラット博士は災害対応ロボット開発競技会を率いたヒューマノイドの大家。ロボットや自動車にAIを実装することでどんな展望が開けるか聞いた。

 ―新会社TRIの研究テーマは何ですか。
 「三つある。一つ目は車をより安全にする。これにより交通事故や運転手の不注意を減らす。二つ目は車を親切に使いやすくする。高齢者や障害者、ひどく疲れた人の運転を支援したい。三つ目として高齢化社会を支える家庭用ロボットを開発する。トヨタホームやロボット部門と連携する。ロボットと人間が共存しやすい空間デザインを検討したい」

 ―AIは検索などの活用が中心でした。自動車の運転はミスが許されず、最も難しい分野への応用ですね。
 「自動運転AIは2種類ある。一つはAIと人間が一緒に運転する並行型。AIに判別能力を持たせ人に提案する形で協調させたい。実際にはドライバーが判断するため、AIが事故の原因にならなければ実用化できる。もう一つが直列型。眠っている人を家に連れて帰れるAIだ。AIに完全に依存するため、事故にならないよう完璧な判断が求められる。高速道路など限られた状況から少しずつ範囲を広げたい」

 ―AIのアルゴリズムは無償公開されています。トヨタの競争力は何ですか。
 「確かにデータと計算資源に価値があり、AIのアルゴリズム自体にはない。トヨタの年間販売台数は1000万台。1台1万キロメートル走ると仮定すると、直近10年間で販売した車から毎年1兆キロメートルの走行データが集まる。私は将来、世界中のすべての車がネットワークにつながると考える。すべての自動車メーカーが走行データを走行状況や販売戦略、安全性向上などに活用するだろう。TRIではデータの収集法と分析AIの両方を開発していく。これまでトヨタは資源を車づくりに投じてきたが、転換期を迎えている。将来、モノづくりとデータ活用への投資額が逆転することもありえるだろう」

 ―人材獲得戦略は。
 「まずはスタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学の近くの2拠点でスタートする。まだ検討中だが、3拠点目は東京大学の近くに設けたい。東大に限らず幅広い機関から人材を募りたい」

【記者の目/先端技術の統合に人型の経験】
 AIはこれまでウェブサービスが中心だったが、今はロボットに載り現実世界を学ぶステージにきた。ネットの世界に比べ、現実世界での学習は飛躍的に難しくなる。ヒューマノイドはハードやソフトなど、先端技術の統合が求められる分野だ。自動車やロボティクスとAIの融合は、同博士の経験が最も生きるテーマだろう。
(聞き手=小寺貴之)
日刊工業新聞2015年12月25日 ロボット面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
たまたまインタビューに同席させてもらった。文中にはグーグルという言葉は出てこないが、会話の中ではさまざまな角度からグーグルとの比較を話してくれた。グーグルに買収された東大発のベンチャー「シャフト」を買収する考えは?という質問に「ハハハ」と笑っていたが、トヨタとの関係がある中で、ここまで話してくれるの?という印象。とてもとても気さくな方です。まだまだ書き切れていないことがたくさんあるが、おいおいアウトプットできれば。

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