コロナで落ち込んだコンビニ、ローソン社長が見通す新常態の「勝ち筋」
新型コロナウイルス感染拡大に伴うニューノーマル(新常態)の対応を急ピッチで進めたコンビニエンスストア。2020年度の落ち込みから回復基調にあるが、人手不足に再び直面する懸念もある。今後の勝ち筋をどのように見通しているのか。ローソンの竹増貞信社長に聞いた。
―21年の事業環境は前年以上に厳しいものでした。
「21年度上期(3―8月)でいうと、環境がアゲンストであったのは間違いない。だが『自分たちの向きを変えれば追い風になる』という思いで、顧客の日常に寄り添った店づくり、商品づくり、サービスづくりを行っている。今の間に、日常生活はローソンで十分だと感じてもらい、実際に行動に移ってくれば、アフターコロナの時に日常需要の上に人流からくる需要が乗る。そこで大きな成長ステージがくる」
―現在注力していることは。
「下期にかけては、評価いただいた弁当・総菜の店内調理の併設店を増やすなど、この1年検証してきたことを実行フェーズとしてマクロ的に広げていく。来期以降はそれを地域化していく。商品やサービスを地域に根付いたものにしていく」
―人工知能(AI)の活用を積極的に進めています。AI戦略については。
「店舗を経営されるのはオーナー、運営されるのは店長。我々の考えは、AIはあくまでオーナーや店長をサポートする役割。オーナーが経験と勘に基づき時間をかけて悩んでいたことをAIが出す。オーナーは決断するだけ。その分、現場に時間をかけられるようになり、店の魅力を上げる時間に使える」
「無人店舗にすることが我々の価値だと思っていない。心地よく買い物いただけることは何なのか。『人手不足だからこれしかできません、全部無人です』とやっても、評価をいただけないのではないかと思う。いろんなメニューを用意して個店個店に合った形にしていきたい」
―飲食店の再開が進み、人手不足が懸念されています。
「今は一時的に一息ついているだけで、あと1―2年もすれば人手不足になる。もっと早い時期になるかもしれない。セルフレジやスマホレジの導入でレジ業務を省人化するにも規制がある。酒やたばこは年齢確認が必要で、セルフレジでは販売できない。規制改革をやってもらいたい」
【記者の目/人手不足克服がカギ】
20年10月に「大変革実行委員会」を立ち上げ、商品や売り場などの変革に着手。「現段階では順調に進んできている」(竹増社長)と手応えをつかむ。目先の課題は再燃する人手不足の克服。コンビニの進化形を探求する競争は続く。(編集委員・大友裕登)