<矢島里佳の新聞clip12.22号>美しい景観は自然と尊敬の念が生まれる
相続税の問題で、京都の歴史的な建造物が様変わりするのを防ごう
1週間の日刊工業新聞の記事の中から、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●法人税2段階で下げ(16年度税制改正、中小に投資減税創設=12月11日付)
●京都企業、景観保護で「衣替え」(屋上看板撤去や穏やかな色調=12月11日付)
●夫がインフルエンザに「別居したい」4割(働くママの実態調査=12月17付)
aeruも11月に京都直営店『aeru gojo』を、京都にオープンした際に、自然と、景観を活かすにはどうしたら良いのか考えていました。『私たちもこの景観を一緒に作る、そしてつなぐ仲間に入れてもらうのだ』という気持ちがありました。それだけ、京都の町家は先人たちが考えぬいた美しい作りで、自然と尊敬の念が生まれるのです。
相続税の問題で、多くの歴史的な建造物が、駐車場、ビルに様変わりしている京都。このままでは、京都の町としての価値が著しく低下してしまうという危機感があります。京都の町並みの美しさが年々失われていく中、外からやってきた私たちが京都の町並みについて考え、守りつないでいくことが必要だと思いました。
企業社屋の屋上や外壁などに取り付けられる社名のロゴサイン。日本全国の各都市で目にする光景だが、世界文化遺産が居並ぶ有数の観光都市、京都市は他とは事情が異なる。厳格化された市の条例のもとで、企業にとっても景観美に溶け込む努力が求められている。看板の撤去や色調の修正などに踏み切った京都企業の取り組みを追った。
京都市東山区に本社がある三洋化成工業。東京から来た新幹線が京都駅に滑り込む直前、左側窓からは同社の社屋がよく見える。その屋上には40年以上にわたり、「三洋化成」とコーポレートカラーのオレンジ色で書かれた看板があった。総務本部の板山博本部長は「社員も愛着があったが、市の条例に基づき、2012年に撤去した」と説明する。
京都市は07年、建築物の高さやデザイン、屋外広告物の規制を市内全域で見直す新景観政策を実施、11年にはデザイン基準などの「進化版」を策定している。市都市計画局の石田嘉彦広告物審査課長は「14年8月末の”完全施行“に向けて約3年間、ローラー作戦を展開した」と話す。
三洋化成は三十三間堂や東福寺などが近くにあり、規制レベルも高いことで看板撤収を迫られた。こうした背景を踏まえ、他社も対応を急いだ。
京都市南区に本社がある堀場製作所は、本社社屋の「HORIBA」の青色のロゴを景観条例に準じて、灰色基調に修正した。駐車場のPマークですら”穏やかな“内容に修正したという。
京都夏の風物詩、五山の送り火が間近に臨める上京区のSCREENホールディングス(HD)は、ロゴの取り付け位置を下げ、色の彩度を抑えた。市内全5カ所の事業所で同様に対応を終えた。
14年6月に新社屋棟が完成した中京区の島津製作所。新建屋外壁には一切のロゴを設置していない。同じ本社・三条工場内の建屋についても、京都市屋外広告物条例の期限内に適法化を完了している。
観光客に人気の高い平安神宮がほど近い左京区のイシダは条例改正に伴い、段階的に社屋壁面の社名ロゴを撤去してきた。さらに屋上に掲揚してきたロゴ入りの社旗が屋上広告物に該当すると市側から指摘があり、現在は中止しているという。
一方、三洋化成はこのほど約3年ぶりに目立ちにくいシルバー調の社名ロゴを”復活“させた。従来の屋上から外壁に移し、条例の範囲内で大きさもひと回り小さくしている。撤去を惜しむ顧客からの声や「企業価値向上の観点からも効果が大きい」とする安藤孝夫社長の意向もあった。
板山本部長は「社員の中で喜びの声が大きかった」と目を細める。ただ旧看板撤去後、すぐに新しいロゴを設置しなかったのは条例順守への決意の表れだったのかも知れない。
指導に携わる京都市の橋本勝喜広告物適正化課長は、屋外広告物の現況について「市内全域で適正化は約86%にまで到達した」と話す。「適正化100%達成」以上に、行政、企業、市民らに加えて、増加の一途をたどるインバウンド(訪日外国人)への意識啓発を含めた「景観都市・京都」を築く永続的な努力が求められる。
(文=京都・林武志)
みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。
今週、選んだのはこの3本です。
●法人税2段階で下げ(16年度税制改正、中小に投資減税創設=12月11日付)
●京都企業、景観保護で「衣替え」(屋上看板撤去や穏やかな色調=12月11日付)
●夫がインフルエンザに「別居したい」4割(働くママの実態調査=12月17付)
aeruも11月に京都直営店『aeru gojo』を、京都にオープンした際に、自然と、景観を活かすにはどうしたら良いのか考えていました。『私たちもこの景観を一緒に作る、そしてつなぐ仲間に入れてもらうのだ』という気持ちがありました。それだけ、京都の町家は先人たちが考えぬいた美しい作りで、自然と尊敬の念が生まれるのです。
相続税の問題で、多くの歴史的な建造物が、駐車場、ビルに様変わりしている京都。このままでは、京都の町としての価値が著しく低下してしまうという危機感があります。京都の町並みの美しさが年々失われていく中、外からやってきた私たちが京都の町並みについて考え、守りつないでいくことが必要だと思いました。
京都企業が看板撤去に踏み切った理由
企業社屋の屋上や外壁などに取り付けられる社名のロゴサイン。日本全国の各都市で目にする光景だが、世界文化遺産が居並ぶ有数の観光都市、京都市は他とは事情が異なる。厳格化された市の条例のもとで、企業にとっても景観美に溶け込む努力が求められている。看板の撤去や色調の修正などに踏み切った京都企業の取り組みを追った。
京都市東山区に本社がある三洋化成工業。東京から来た新幹線が京都駅に滑り込む直前、左側窓からは同社の社屋がよく見える。その屋上には40年以上にわたり、「三洋化成」とコーポレートカラーのオレンジ色で書かれた看板があった。総務本部の板山博本部長は「社員も愛着があったが、市の条例に基づき、2012年に撤去した」と説明する。
京都市は07年、建築物の高さやデザイン、屋外広告物の規制を市内全域で見直す新景観政策を実施、11年にはデザイン基準などの「進化版」を策定している。市都市計画局の石田嘉彦広告物審査課長は「14年8月末の”完全施行“に向けて約3年間、ローラー作戦を展開した」と話す。
三洋化成は三十三間堂や東福寺などが近くにあり、規制レベルも高いことで看板撤収を迫られた。こうした背景を踏まえ、他社も対応を急いだ。
京都市南区に本社がある堀場製作所は、本社社屋の「HORIBA」の青色のロゴを景観条例に準じて、灰色基調に修正した。駐車場のPマークですら”穏やかな“内容に修正したという。
京都夏の風物詩、五山の送り火が間近に臨める上京区のSCREENホールディングス(HD)は、ロゴの取り付け位置を下げ、色の彩度を抑えた。市内全5カ所の事業所で同様に対応を終えた。
14年6月に新社屋棟が完成した中京区の島津製作所。新建屋外壁には一切のロゴを設置していない。同じ本社・三条工場内の建屋についても、京都市屋外広告物条例の期限内に適法化を完了している。
観光客に人気の高い平安神宮がほど近い左京区のイシダは条例改正に伴い、段階的に社屋壁面の社名ロゴを撤去してきた。さらに屋上に掲揚してきたロゴ入りの社旗が屋上広告物に該当すると市側から指摘があり、現在は中止しているという。
一方、三洋化成はこのほど約3年ぶりに目立ちにくいシルバー調の社名ロゴを”復活“させた。従来の屋上から外壁に移し、条例の範囲内で大きさもひと回り小さくしている。撤去を惜しむ顧客からの声や「企業価値向上の観点からも効果が大きい」とする安藤孝夫社長の意向もあった。
板山本部長は「社員の中で喜びの声が大きかった」と目を細める。ただ旧看板撤去後、すぐに新しいロゴを設置しなかったのは条例順守への決意の表れだったのかも知れない。
指導に携わる京都市の橋本勝喜広告物適正化課長は、屋外広告物の現況について「市内全域で適正化は約86%にまで到達した」と話す。「適正化100%達成」以上に、行政、企業、市民らに加えて、増加の一途をたどるインバウンド(訪日外国人)への意識啓発を含めた「景観都市・京都」を築く永続的な努力が求められる。
(文=京都・林武志)