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住友化学が電子部品向け液晶ポリマーで新工場、「5G」採用増加見込む

住友化学が電子部品向け液晶ポリマーで新工場、「5G」採用増加見込む

住友化学のLCP製品

住友化学は2024年度をめどに、スーパーエンジニアリングプラスチックの液晶ポリマー(LCP)の新プラントを国内に建設する方向で最終検討に入った。生産能力は年数千トンとみられる。22年前半にも意思決定する。世界的なLCP需要拡大を取り込む。主力の電気・電子用途に加え、今後は高速通信や自動車関連での採用増加を見込む。

住友化学は愛媛工場(愛媛県新居浜市)とグループ会社でLCPを生産し、生産能力は合計で年約1万トン。新プラントは既存プラントと同規模を軸に検討している。立地は同工場と石油化学品の主力拠点の千葉工場(千葉県市原市)を候補とし、コストや期間などを踏まえて選択する。

同社はLCPを電気・電子用途中心に販売しており、スマートフォン向けコネクターが主力。低誘電特性に優れる特徴を生かし、第5世代通信(5G)などの高速通信や自動車関連での採用拡大を目指す。誘電率の高い水を吸水しにくいのも利点。

同社はサーバーや携帯基地局、モバイル端末など幅広い用途に対応するグレードをそろえ、現在アンテナ周辺部品や基板向けに採用が広がっている。

5Gで使われる高周波信号は伝送損失が大きいという弱みがあり、アンテナの基板材料などに低誘電率、低誘電正接といった特性を持つ材料が求められている。LCPの引き合い増加はこのため。車載用リレーにもLCPが採用され、自動車の電装化に伴いLCP市場の拡大が期待される。ダイセル傘下のポリプラスチックス(東京都港区)もLCPを増産している。

日刊工業新聞社2021年12月20日

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