交通量調査員がいなくなる?AIで交通量調査の業務を効率化
監視カメラ映像解析、具体的な特徴検出
Present Square(プレゼントスクエア、東京都中野区、小林寛幸社長)は、独自のアルゴリズムで交通監視カメラなどの映像を人工知能(AI)で解析し、交通量調査の省人化および業務効率化を担う。自動車や歩行者の交通量に加え、進行方向ごとの計測や、車種や性別など具体的な特徴の検出も可能。一般的に活用できる方法を模索し、不動産の評価やスマートシティー化への情報活用など、街づくりへの展開を目指す。
交通量調査員がいなくなる―。国土交通省は、2021年度秋から国が直轄管理する国道での調査員を廃止した。自治体でも人手による観測を廃止する方針で、該当業務はAIが担う“新常態”へと変わりつつある。
プレゼントスクエアの自動車交通量の計測サービス「SmartCounter―スマカチ―」は、交通監視カメラやビデオカメラなどで撮影した映像から交通量を自動で計測する。物体検出と物体トラッキング(追跡)の技術を組み合わせた独自のアルゴリズムを採用。現場に人を置くことなく交通量調査ができる。用途に合わせたカメラや録画機のレンタルも可能だ。
交通量に加えて、車線変更の台数やナンバープレートの情報、交差点での進行方向ごとの計測など、目視では精度にバラつきが出るような情報を効率的に取得できる。一方で、「個人情報の取り扱いには気を配っている」と小林社長は語る。経済産業省などによる、個人情報保護に配慮しつつ店舗内カメラなどの画像利用を促す手引き「カメラ画像利活用ガイドブック」に準拠し、顧客の要望に応じた情報を抽出している。
交通量調査ができるAIを開発する企業は他にも複数ある。同社は米国などで発表された最新のAI技術に関する論文をエンジニアが翻訳して公開するニュースサイト「ディープスクエア」を運営し、サーチエンジン最適化(SEO)対策や集客につなげている。自社サイトが「AI 交通量調査」といったキーワード検索で上位に表示されるようにしながら「エンジニアが翻訳を通じて最新技術を学び、システムに反映できる体制を整えている」(小林社長)という。
動画さえあればデータ解析は可能という同社は、今後の展開として“街づくり”へのデータ活用を目指している。例えば、小道を通る人流を分析することで、そこにある店舗用物件に適した業種の具体的な提案ができる。小林社長は「身近でリアルな課題を、システムで解決したい」としている。(成田麻珠)