水素エネ利用技術に注力する三浦工業、SDGs基本方針を策定した狙い
企業活動で社会貢献 基本方針策定
三浦工業は、2021年2月に持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ基本方針を策定した。基本方針は「熱・水・環境のベストパートナーとして、企業活動を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する」。主力の産業用ボイラと周辺機器の組み合わせにより、工場の廃熱や廃水を再利用した省エネや省水、二酸化炭素(CO2)排出削減などの提案活動を推進。「企業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献したい」(ブランド企画室八木宏昭部次長)と、これまで展開してきたトータルソリューション提案を軸としてサステナブルな社会を目指す。
17年に水素燃料ボイラを発売するなど、環境負荷の小さい新たなエネルギーの活用に向けた取り組みも積極的に推進。燃料電池や水素発生装置の開発、水素社会実現に向けた実証実験への参画などを通じて、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けて水素エネルギーの利用技術開発にも注力している。
20年4月には従業員の国連の持続可能な開発目標(SDGs)への意識向上と浸透を図るために「MyGs(マイジーズ)プロジェクト」を立ち上げた。事業部ごとのSDGsに対する取り組みをホームページ(HP)に掲載。従業員間の情報共有を図るとともに、「今後は海外のグループ企業にも展開してきたい」(同)と、英語、中国語、韓国語の翻訳版もHPに掲載している。
このほか、社内の使用済みコピー用紙をリサイクルするプロジェクトに取り組んでいる。再生紙に加工できる設備を導入して紙ゴミの排出量削減を図り、再生紙は名刺やノートなどに利用する。障がい者の働きやすい職場環境を実現するために立ち上げた特例子会社ミウラジョブパートナー(松山市)が業務を担当。「高品質の再生紙を作るためのきめ細かい仕分けや、新たな印刷物を生み出すアイデア出しを行っている」(同)。障がい者の雇用拡大と同時に、従業員の多様性に応じた能力を生かせる仕事が働きがいにもつながっている。