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「ドップラー効果」でコンクリ内部の劣化が分かる。青学とコニカミノルタが開発したスゴイ技術

資格なしで容易/人体への影響リスク減

青山学院大学環境電磁工学研究所の橋本修所長(理工学部教授)、須賀良介研究員(同助教)、コニカミノルタはドップラー効果を使ってコンクリート構造物内部の鉄筋の腐食や劣化を検査する技術を開発した。電磁波を構造物に当て、反射で戻った電磁波から劣化の有無を判断する。既存のX線検査は資格が必要な上、人体への影響リスクがある。埋め込み式センサーは建設時に設置する必要があり、容易で安全に検査できる技術が求められていた。

ドップラー効果は相対速度で波長が変化する現象。電磁波の送受信アンテナを鉄筋コンクリート壁の表面と平行に移動し、反射電力を測定する方式を採用した。これにより、コンクリート内部にある鉄筋の劣化を調べる。

コンクリートからの反射波にドップラー効果は生じず、鉄筋からの反射波にのみ周波数偏移が生じる。偏位した周波数での反射電力を評価する。出てきた数値を錆がある場合と錆がない場合の蓄積データと照合することで劣化を判別できる。

厚さ33ミリメートルの石こうボードを使った実験では、鉄板と錆びた鉄板との違いを見分けることができた。橋本所長は「錆びた鉄は反射が少ない。狙い通りに違いを測定できた」としている。

実際の測定には高い周波数が有効と思われるため、製品化にはさらに80ギガから100ギガヘルツ(ギガは10億)の周波数を用いた検証の実施を検討している。

日刊工業新聞2021年11月25日

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