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平時は書斎にもなる家庭向け「核シェルター」が面白い

平時は書斎にもなる家庭向け「核シェルター」が面白い

直エンジニアリングが開発した核シェルターは1台分の駐車スペースに設置できる

直エンジニアリング(茨城県結城市、古谷野里香社長)は、屋外の駐車スペース1台分に設置可能な核シェルターを開発した。12月に発売する。収容人数は2―5人。鋼鉄製の外壁には鉛の板を組み込み、室内に放射性物質などの侵入を防ぐフィルター装置を搭載した。有事の一時避難施設のほか、平時には書斎などとしての活用も提案する。予定価格は550万円(消費税抜き)。初年度50台の販売を目指す。

「一般家庭でも導入可能な防災・核シェルター」をコンセプトに開発した。製品名は「CRISIS(クライシス)―01」。外形サイズは幅2×長さ4×高さ2メートル。重量は2・2トンで、トラックなどで運搬して簡便に据え付けができる。

室内は約3畳分の広さがあり、10日間程度の避難を想定。放射性物質や火山灰などの有害物質を取り除く高性能なフィルター装置を海外から取り寄せて搭載した。有事の際、吸気口に同装置を接続して稼働すれば、外気に漂う有害物質の侵入を防げる。

電源は別売りでポータブルの電源装置などが使用可能。フィルター装置は緊急時に手動でも稼働できる。また、室内にはエアコンや換気扇、LED照明などを基本装備した。平時にはテレワーク用の仕事部屋、趣味部屋などに活用できるよう、内外装の意匠性にもこだわった。

直エンジニアリングは非常用発電装置の筐体製造が主力。板金や溶接の技術を応用した自社製品の開発を検討した中、日本での核シェルターの普及率の低さに着目。今後の日本での防災意識の高まりを見据え、設置が容易で比較的低コストで導入できる核シェルターを独自設計で開発し、新市場の開拓に結びつける考えだ。

日刊工業新聞2021年11月9日

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