台湾TSMCが半導体工場を設立する熊本、歓迎ムードも地元企業から心配の声のなぜ

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造成が始まった熊本県菊陽町のTSMC工場(後ろはソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)

半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本工場となる子会社(JASM)を熊本県に設立する。少数株主として参画するソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)が正式に発表した。地元産業界や行政は歓迎ムードに沸いている。シリコンアイランドと呼ばれた九州全域だけでなく、全国への経済波及効果にも期待がかかる。一方、地元企業からは人手不足や雇用確保を心配する声も上がる。(九州中央・勝谷聡)

TSMCが工場の整備を進めるのは、第二原水工業団地(熊本県菊陽町)のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング熊本テクノロジーセンターの隣接地約21万平方メートル。SSSによると、2022年建設開始を予定。24年末までに生産開始を目指す計画だ。

隣の合志市にまたがる同エリアは、セミコンテクノパークと呼ばれ、東京エレクトロン九州も事業所を構え、半導体製造装置関連の協力企業も集まる、半導体関連の一大集積地。すでに地域の協力企業は大きな設備投資を進めている。

蒲島郁夫熊本県知事は10日の会見で「熊本の地から国の経済安全保障の一翼を担いたい」とコメント。後藤三雄菊陽町長も「ソニーグループと協議を進め町議会と相談の上、県とも連携し必要な手続きなど対応していく」とした。

SSSは約1500人規模の先端技術に通じた人材を雇用する計画を表明しており、地元産業界は歓迎する一方で、人材確保を心配する声も上がる。

田中稔彦熊本県工業連合会会長(金剛社長)は「会員企業の中には人手不足につながることを心配する声も上がっているが、経済波及効果は大きい。優れた人材、巨額の投資、周辺企業の進出などを期待」と話す。

熊本経済同友会代表幹事の平田雄一郎平田機工社長は、「人材は必ずしも熊本だけで集めるとは限らない。世界中から集められるはずだ。優秀な人材が熊本に集まり、関連企業が集まれば仕事量が増えることも予想される」と期待する。

熊防メタル(熊本市東区)の前田博明社長は、「今後の雇用は、ダイバーシティーの考え方を導入し地道に取り組む」と話す。オジックテクノロジーズ(熊本市西区)の金森秀一社長は「行政は優秀な人材を県に集める整備が必要」と指摘する。熊本県は「投資や雇用に応じた立地促進補助金を考えている。ニーズを探るなど情報収集に努めたい」(企業立地課)としている。

日刊工業新聞2021年11月11日

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