ジェイテクトが実用化目指す、ギ酸を活用した燃料電池の実力
ジェイテクトは自動車部品の技術などを生かし、ギ酸を活用した燃料電池を開発した。国内で初めて機能実証機を製作した。メタノールなどを使った燃料電池に比べ環境面や安全性、出力密度で優れる点を訴求する。2030年までに出力1キロワット級までを含め非常用電源などとして実用化を目指す。
同電池「直接ギ酸形燃料電池」は、ギ酸水溶液と空気中の酸素を用いてセル内の触媒で反応させて発電する。今回作製したのは出力50ワット級。メタノールの燃料電池に比べて約3倍となる1平方センチメートル当たり最大出力密度290ミリワットを達成した。自動車部品の表面処理技術などを生かし発電効率を高めた。
同電池は樹脂などの製造廃棄物で、水溶液にすれば燃焼などの心配がない燃料としてギ酸の利点に着目。金沢大学の辻口拓也准教授と共同研究を進めてきた。まず社内利用で検証する。
ジェイテクト研究開発本部の林田一徳副本部長は「さらに出力密度を上げ、低コスト化を図る」と語った。
日刊工業新聞2021年11月9日