個人の仕事の能力に誰が責任をもつべきか、1100人調査で明らかになったこと
個々人の仕事の能力に誰が責任を持つべきか。成長分野への人材移動を促すリスキリング(職業能力の再開発・再教育)の議論が活発になる中で、日本生産性本部が実施したアンケートでは、働く人自身が責任を持つべきだと考える人が約半数を占めた。勤め先よりも多く、政府や教育機関に責任を感じる人はわずかだった。
日本生産性本部が10月に実施した「働く人の意識に関する調査」で、仕事の能力を高めることについて誰が最も責任を持つべきか、主体別に聞いたところ、「働く人自身」が48・1%と最も多かった。「勤め先」が22・3%、「政府(国)」が4・4%、「学校・大学などの教育機関」が2・4%と続いた。
デジタル化や脱炭素社会の進展などで産業構造が変革を迫られる中で、リスキリングの重要性が高まっている。欧州では公共職業安定所や職業訓練施設を活用して、失業者を労働市場に復帰させる政策をとっている国が多い。この場合個人の能力向上に政府が関与していることになる。また、企業が競争に勝ち抜くためには従業員の育成が必要であり、この場合企業が責任を持つことになる。
生産性本部では調査結果から、「わが国では、仕事能力向上は、個人の責任とする考え方が半数近いことが分かる」としている。
年代別に見ると、いずれの年代も「働く人自身」が最も高かった。20代では35・2%、30代が42・8%、40代が52・0%となるなど「高い年代では自己責任と考える割合が多くなる」(生産性本部)。「勤め先」は20代から50代までいずれも20%台、「政府(国)」は全年代で1ケタ%だった。
一方、設問では責任主体とは他に、「特に仕事能力を高める必要があるとは思わない」という選択肢も用意、22・7%となった。年代別で見ると20代が31・9%、30代が25・5%となり、他の年代と比べて同じか高くなった。若年層の能力向上意欲の低さがうかがえると、生産性本部は懸念している。
同調査は20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている1100人を対象にインターネットで行った。