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水素燃料は3兆円市場に、けん引する需要はこれだ!

20年度比3879倍、FCV・発電向け伸長

富士経済(東京都中央区、清口正夫社長)は、国内の水素燃料市場が2035年度に20年度比3879・3倍の3兆4914億円に拡大するとの予測をまとめた。そのうち燃料電池車(FCV)向けの水素燃料市場は、35年度に同91・0倍の455億円になると予想している。また水素ガスタービン発電などの発電分野が需要をけん引すると見る。

水素燃料は自動車や発電用の水素ガスが対象で、石油精製などに利用される既存の産業用水素は含まない。

21年度の国内水素燃料市場は20年度比55・6%増の14億円を見込む。20年度に全面改良したトヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」の販売台数が増加しているほか、東京五輪開催に向け燃料電池(FC)バスの導入が進み、車分野の需要が増えると見る。

FCバス向けの水素燃料市場は21年度に20年度比25・0%増の5億円、35年度に同10・5倍の42億円に拡大すると予測する。中長期ではここ数年のFCバスの導入拡大で、安定利用による水素ステーションの自立化が見込まれ、さらなる需要の増加を予想する。

FCV、FCバス、FCトラックなどに搭載される車載用燃料電池スタックの国内市場は、35年度に20年度比41・7倍の1167億円に拡大すると予測する。中長期では自動車メーカーなどが外販する燃料電池モジュールの定格出力の品ぞろえが拡充し、乗用車以外のモビリティーでの需要増を見込む。

30年度以降では燃料電池スタック・システムの外販やコスト低減が進み、乗用車や商用車以外にフォークリフトなどへの実装拡大を予想する。また現在開発が活発化している船舶、鉄道、ドローン、農機などでも需要が増えるとしている。


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日刊工業新聞2021年10月26日

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