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悪化する日系車メーカーの新車販売、米中の2大市場で落ち込み激しく

半導体など部品不足に伴う自動車の減産が長期化し、米国と中国の2大市場で新車販売の落ち込みが激しくなっている。米国の9月の日系車メーカー4社の新車販売台数は、前年同月比23・0%減の約31万台。増減率は8月の同7・9%減、7月の同19・7%増から悪化した。中国の9月の日系車6社の新車販売は同29・9%減の約37万台と、5カ月連続で減少した。減少幅も8月の同20・5%減、7月の同12・2%減から広がっている。

米国の9月の新車販売は日系車4社のうちマツダを除く3社が、前年同月比で2割を超える大幅減となった。

単月の販売台数を公表していない日産自動車と三菱自動車を加えた日系車6社の7―9月期の米新車販売は、前年同期比5・3%減の約136万台だった。うちトヨタ自動車とマツダの2社は前年同期実績を上回った。

調査会社のマークラインズによると米国市場全体の9月の新車販売台数(推定値を含む)は、前年同月比26・1%減の約101万台だった。増減率は8月の同17・2%減、7月の同4・7%増から悪化。半導体不足に伴う減産が影響した。

中国の9月の新車販売台数は、日系車6社すべてが前年同月比2ケタを超える減少となり、トヨタとSUBARU(スバル)は同約4割減となった。

7―9月期の日系車6社合計の中国新車販売は、前年同期比21・3%減の約113万台だった。ホンダ、スバル、マツダが同2割を超える減少となった。日産幹部は原材料不足など「外的環境に起因する逆風は年内を通して続く」とし、先行きは不透明との認識を示す。

中国汽車工業協会によると中国市場全体の9月の新車販売台数は、前年同月比19・6%減の約207万台と、5カ月連続で減少した。減少幅は8月の同17・8%減、7月の同11・9%減から広がる。半導体不足だけでなく、電力供給制限も自動車減産の一因となり、販売を押し下げた。

東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大を巡っては、マレーシアの半導体工場が集団感染で一時的に稼働停止となり、世界中の車メーカーの工場で減産が長期化した。

野村証券の桾本将隆アナリストは8日付のリポートで「日系車各社のグローバル生産は、ボトルネックだったマレーシアでの半導体パッケージの生産正常化に伴い急速に回復しており、10月下旬―11月上旬に正常化するだろう」との見方を示した。

日刊工業新聞2021年10月22日

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