脱炭素で連携、ANAとJALが「SAF」共同開発へ
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、航空業界の二酸化炭素(CO2)排出を2050年までに実質ゼロにする目標の達成に向けた共同リポートをまとめた。30年までに世界の航空燃料の10%を、CO2排出削減につながる植物由来などの「持続可能な航空燃料(SAF)」に切り替えるべきだと提言。その上で、両社がSAFの共同開発などで連携する方針を打ち出した。
電力や水素で動く航空機の研究も進んでいるが、共同リポートはより多くのエネルギーを消費する中大型機については「引き続き液体燃料が必要になる」と指摘。今後、航空需要の増加が見込まれることも踏まえると、日本で50年に「実質ゼロ」を実現するには最大2300万キロリットルのSAFが必要だと試算した。これはコロナ禍前の19年に消費した化石燃料の2倍程度に当たる。
現在の世界のSAF生産量は需要の0・03%にとどまっているが、リポートはアジア圏のSAF市場規模が50年に22兆円へ拡大すると予想。輸出などで国産SAFをアジア圏に広げられれば「日本の経済と環境の好循環を生み出す」と訴え、政府や関連業界に協力を呼び掛けた。
日刊工業新聞2021年10月13日