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先行き懸念強まる国内製造業、部材不足の拡大で業況が悪化局面
国内製造業の先行きへの懸念が強まっている。半導体をはじめ部材不足の拡大が背景だ。日銀がまとめた9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業、中小企業ともに製造業の先行き業況判断指数(DI)が悪化した。大企業は4ポイント減のプラス14、中小企業は1ポイント減のマイナス4だ。足元のDIは9月まで5期連続で改善してきたが、ここにきて情勢は変わりつつある。
業況判断DIは「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた値。日銀は8月末―9月末に調査を行った。代表的指標の大企業製造業の足元は前回6月調査から4ポイント改善のプラス18。中小企業製造業は4ポイント改善のマイナス3で、どちらも5期連続の改善。主に海外でのデジタル関連投資に支えられると同時に石油・石炭、鉄鋼などの業種で価格転嫁が進んだためだ。
ただ、大企業の自動車は10ポイント減のマイナス7と低調だった。車各社は半導体不足や東南アジアのコロナ禍のため工場休止など減産対応した。国内車大手8社の8月の世界生産は前月比2割減。7月の同3%減から急減した。
10月の車各社の大幅な減産計画で、部品など関連業種は保守的に先行きを見通した。先行き業況判断は素材業種で足元から9ポイント減、加工業種で3ポイント減にそれぞれ悪化した。
さらに中国不動産大手・中国恒大集団の経営危機問題で、中国不動産バブルの崩壊と世界の金融市場への余波が危惧される。
日刊工業新聞2021年10月4日