避難情報の精度上げる。産総研が土砂災害を高精度に予測する地図を作製

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産業技術総合研究所は豪雨や地震などによる土砂災害に特化した高精度の災害予測地図を作製する。従来の地形図に加え、構成する岩石の種類や地層の傾きなどの「地質情報」や人工衛星による地上の観測データを統合。自治体が作る災害予測地図に反映し、災害時の避難情報の精度向上や都市開発のリスク評価などにつなげる。

2023年度末までに熊本県を中心とする九州北部で地域ごとの土砂災害の危険度を示した地質図を作る。近年、豪雨をもたらす「線状降水帯」などにより各地で土砂災害が多発。崩れやすい岩の性質や地層の傾き、土壌や植生などが山崩れや土砂崩れなどの「斜面崩壊」の要因として挙げられる。

高精度災害予測地図にはこうした複合要因を考慮する必要がある。現状では土地の標高や海岸、川などの情報を含んだ「地形図」から自治体が災害予測地図を作っている。

地質や地形、衛星データを災害予測地図に反映できれば、各地域の危険度を評価し数値化できる。「泥岩より火山岩のほうが滑りやすい」といった地質情報を基に危険度をランク分けし、地表の傾斜が同じ地域でも細分化して評価可能。これまでは「傾き30度以上の斜面地を土砂災害危険区域に指定する」といったおおまかな評価しかできなかった。

産総研が持つ5万分の1や20万分の1の縮尺の地質図に地滑り地形分布図や数値標高モデルを合わせ、危険度を示した地質図を作成。さらに地滑りの発生源となる「火山灰層」の厚さの分布図を地質図に重ね合わせる。米航空宇宙局(NASA)などの衛星画像データから植生や地形の変化を分析し、斜面の崩壊リスクも評価する。

日刊工業新聞2021年9月28日

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