国際ロボット競技会で栄冠、九州工業大学が重ねた熟練
国際ロボット競演会「ワールド・ロボット・サミット(WRS)2020」最終日12日のフィナーレを飾ったのは、サービス部門のパートナーロボット競技だ。午後の決勝戦では、2018年のプレ大会で優勝した強豪・九州工業大学と北九州市立大学の学生チームと初のオンサイト競技会出場となる東京大学の学生チームが優勝の座を争った。
「競技時間内にすべてのタスクをこなしきるのでは」-。岡田浩之競技委員長(玉川大学教授)は、他チームでの成功事例がなかった複雑形状の飛行機の模型をつかみとった九工大らのチームをこう高く評した。対する東大の学生チームも大きなミスをすることなく、手離れ良くタスクをこなした。圧倒的なスコア獲得をもって、決勝の舞台に駒を進めた両チーム。一進一退の攻防を繰り広げた。
競技時間が残り約7分と佳境を迎えたころ、九工大らの学生チームのロボットが停止するトラブルが発生。その後すぐさまリスタートを切った。岡田競技委員長は「(床面よりも高所にあり、ボーナスポイントが付与される名古屋城の金のしゃちほこを模した雑貨)『ボスキャラ』を確実に獲得するために、あえて停止させるプログラムを作動させたのではないか。作戦巧者だ」と舌を巻いた。
結果は九工大らの学生チームが400対800で勝利。東大の松嶋達也チームリーダーは「研究室だけでは視野が狭くなってしまう。研究面での課題を見つけることができた貴重な機会だった」と振り返った。
停止したのは策略か。九工大の德野将士チームリーダーに問いかけた。「大会期間中も深層学習(ディープラーニング)を重ね、床に散らばる複数の雑貨類のうち、どうしてもこなせないタスクをあぶり出した。これ以外を完了させたのち、ロボットが右往左往する緩慢な動きを防ぐために、リスタートを実行するプログラムへと改善を重ねていた」と明かす。ルールや課題の熟知を、大会期間中もなお努め、鍛錬を重ねたことも優勝へと大きく貢献したようだ。
全競技終了のワールド・ロボット・サミット、夢のロボット現実に近づく
ワールド・ロボット・サミット(WRS)2020は12日、4日間の競技を終えた。各チームは懸命に競技に取り組み、競技フィールドでは熱い戦いが繰り広げられた。佐藤知正WRS実行委員会委員長は、「パートナーロボットでは暮らしに役立つロボットが夢ではなく現実に近づいた」と語り、ほかの分野でも成果が得られたとした。12日には表彰式も行われた。各賞の受賞者は以下の通り。