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乳児の特殊な視覚世界を解明―中央大など

照明の細かな変化に反応できることが判明
乳児の特殊な視覚世界を解明―中央大など

物体が変化する画像を乳児に見せる実験(中央大提供)

 中央大学人文科学研究所の楊嘉楽(ようからく)客員研究員や同大文学部の山口真美教授らは、生後3―4カ月の乳児の特殊な視覚世界を明らかにした。成人には、物体を安定して知覚できるように、照明による細かな変化を無視する能力が備わっている。だが3―4カ月児は、照明による物体の視覚的変化に反応できることが分かった。子育てをする際の部屋や玩具のデザインなどに生かせる可能性がある。

 日本女子大学人間社会学部の金沢創教授、東京大学大学院総合文化研究科の本吉勇准教授との共同研究。成果は米科学誌カレント・バイオロジーに掲載された。
 
 3―8カ月児42人を対象に調査した。異なる画像が交互に入れ替わり点滅する画像(変化する画像)と、同じ画像が点滅する画像が同時に出る実験モニターを準備。モニターの画像を乳児に見せ、各画像を見る時間を比較し乳児の物体への認識能力を調べた。

 成人が知覚しやすい物体表面の光沢の変化を3―4カ月児は知覚できないが、7―8カ月児では知覚できることが分かった。一方、成人が知覚しにくい照明環境の変化に関しては、生後3―4カ月では知覚できるが、生後5―6カ月以降で知覚できなくなることを突き止めた。
日刊工業新聞2015年12月7日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
成長によって知覚できなくなる照明環境の変化を乳児が知覚しているというのが、生命進化のおもしろさを感じます。

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