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日立金属の運行・保守向け高機能電線、欧州の高速鉄道に売り込む

日立金属の運行・保守向け高機能電線、欧州の高速鉄道に売り込む

トロリ線に光ファイバー検知線を埋め込むことで、トロリ線の摩耗や断線を検知する

日立金属は欧州などの高速鉄道会社に、運行・保守向けの高機能電線・システムを拡販する。JR東海と共同開発した光ファイバー式警報トロリ線摩耗検知システムなどをベースに、各種のニーズに対応する。リアルとオンラインによる鉄道関連見本市で売り込む一方、課題となるコストの低廉化や技術規格への対応を進める。海外鉄道や医療関連など成長領域を開拓し、これらが電線事業に占める比率を現状の約43%から2027年度には過半に高める考えだ。

日立金属の鉄道向け製品は、車両に電力を供給するトロリ線や車両用ケーブル、トランス向け軟磁性部材など幅広い。光ファイバー式警報トロリ線摩耗検知システムは東海道新幹線向けに共同開発し、21年初頭から順次導入されている。JR東海の導入費用は約88億円という。

同新幹線のトロリ線は超高速走行と過密ダイヤの下、車両上部にあるパンタグラフによる通過で摩耗に注意を要する。同システムでは摩耗の進行を24時間365日監視し、地震や台風など自然災害時のトラブルなども迅速に検知できるという。

東海道新幹線のトロリ線は従来、検知線としてメタル線を埋め込んだ。流れる電流の有無で摩耗を確認するため、列車運行が終わった深夜しか検知できなかった。今回検知線を光ファイバーに替えたことで異常時のファイバー断線の情報を即通知する仕組みで、実用化は世界で例がない。

同システムは安全運行が前提の社会インフラ向けだけに開発から認証、導入に10―20年を要する。日本の先進的な鉄道システムの“輸出”は新たな産業政策となっており、日立金属はニーズが多い運行・保守分野などに照準を合わせる。国内での実績を踏まえ海外の情報収集に注力する。

日刊工業新聞2021年9月2日

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