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「下町ロケット」の舞台、東京・大田が町工場を開放

体験イベントから次のモノづくりが生まれる
「下町ロケット」の舞台、東京・大田が町工場を開放

町工場が分担して一つのモノを作る「仲間回しラリー」の一コマ。タムタムを溶接する(共栄溶接)

 「職人が一番しゃべる1週間」―。東京都大田区で5日まで「第5回おおたオープンファクトリー」が開催中だ。2日には「イナバ物置」で有名になった稲葉製作所の社員食堂で「町工BAR」を開いた。5日には区内三つの工場アパートを開放するほか、京浜島・城南島エリアで「工場島めぐり」を実施する。

 おおたオープンファクトリーは、区内の技術力をアピールするため町工場を一斉に開放するイベント。地元以外からも人が集まる。2014年から工場見学を受け入れている共栄溶接の波田野寿好社長は「地方の製造業者の方が来て、名刺交換することもある。仕事につながる可能性を感じる」と笑顔を見せる。

 大田区ならではの企画も用意した。区内の町工場が連携して一つのモノを作る”仲間回し“を体感できる「仲間回しラリー」だ。3―4カ所の工場を回り、太鼓の一種であるタムタムやこけしを完成させる。初日のみの開催で、今回は約40人が楽しんだ。

 地域交流拠点「くりらぼ多摩川」では期間中、NHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』で実際に使われた旋盤などの工具を展示し、事務棟を「くりらぼカフェ」として開放。普段無口な職人も語り続ける。「職人トーク」と題して講演したナイトペイジャーの横田信一郎社長は「大田区には下町ボブスレーをはじめ連携事例が多い。みんなで意見を出して役割分担すると、面白いものができる」と魅力をアピールした。

 5日はそのナイトペイジャーでレーザーカッターを使った工具型キーホルダーづくりや、イービーエムで手術訓練機械のシミュレーションを見学。工場島めぐりは北島絞製作所でヘラ絞り、酒井ステンレスでステンレス製品の製造などが体験できる。

 おおたオープンファクトリーは、区内工業団体の工和会協同組合や大田観光協会、首都大学東京、横浜国立大学で結成する実行委員会が主催。ボランティア団体「ねじまき隊」を結成し、大学生から定年退職後のベテランまで幅広い年齢層のボランティアを活用し、運営している。
(文=門脇花梨)
日刊工業新聞2015年12月3日中小企業・地域経済面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
「下町ロケット」の舞台にもなっている東京・大田。オープンファクトリーの先駆けの街で町工場の技術に触れてみては。本日最終日です。

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