相次ぐ冷凍食品やマヨネーズなど食品の値上げ、今後も続きそうな理由
油脂価格の世界的な高騰で食品の値上げが相次いでいる。食用油は2021年に3回値上げし、食用油の価格高騰が、マヨネーズやマーガリンなどに波及。中国やインドなどの人口増加や経済成長で世界的に需要が拡大し、原料である穀物の国際価格が上昇している。ただ、こうした需要の拡大は一過性ではなく構造的なものと見られ、今後も続きそうだ。(高屋優理)
ニチレイフーズは11月1日納品分から家庭用冷凍食品の一部の商品を、4―8%値上げする。食用油や小麦粉、牛肉や豚肉の価格が上昇しているためだ。ニチレイフーズが家庭用冷凍食品を値上げするのは15年2月以来、6年9カ月ぶりとなる。
背景には20年から続く、油脂類の高騰がある。日清オイリオグループ、J―オイルミルズ、昭和産業の3社は家庭用食用油を8月に1キログラム当たり50円以上値上げした。食用油は20年に1回値上げし、21年もすでに4月に同20円、6月に同30円値上げしている。原料となる大豆や菜種の国際価格の高騰が続いているためだ。
経済成長が続くインドや新型コロナウイルスの感染拡大からいち早く経済を戻しつつある中国で需要が拡大しており、これに引っ張られている格好で原料の国際価格が上昇している。こうした世界的な人口増加や経済成長による需要拡大は今後も続くと見られることから、各社値上げに踏み切っている。
食用油の価格高騰は冷凍食品同様、さまざまな食品の価格に波及している。キユーピーと味の素は7月1日出荷分から、業務用、家庭用のマヨネーズとマヨネーズ関連商品の価格を引き上げた。値上げ幅はキユーピーが2―10%、味の素が1―10%。キユーピー、味の素ともに、値上げは13年以来8年ぶり。代表的な家庭用の商品では「キユーピーマヨネーズ450グラム」で消費税抜きの希望小売価格が350円から372円となっている。
マーガリンも油脂価格の影響を受け、値上げする食品の一つだ。明治と雪印メグミルクは10月1日出荷分から、市販用マーガリン類などの価格を3―13%引き上げる。雪印メグミルクの「ネオソフト300グラム」で290円から320円程度の値上げ。マーガリンは世界的な需要拡大と合わせて、原料の主要産地の天候不順なども背景にあるという。
食用油の価格は10月もさらに引き上げられるとみられている。食用油を軸に値上げする食品もさらに増えるとみられ、家計への打撃になりそうだ。