衛星データ活用の新ビジネス創出へ。経産省が一手
経済産業省は人工衛星データを利用した民間ビジネス創出を支援する事業を2022年度から始める。政府の衛星データプラットフォーム(基盤)「テルース」で使えるデータの質・量を強化するために、衛星データ提供事業者から有償データを買い取る。データ内容を充実させ、企業に衛星データの活用を促し、農業や漁業、インフラ管理、防災などの新規ビジネスの創出につなげる。22年度の予算概算要求に数億円規模で盛り込む。
テルースは、クラウド上で衛星データを分析できるプラットフォーム。光学衛星による画像データをはじめ、気象や植生、地表面温度などを示した衛星データを利用者に提供している。経産省の受託事業として、さくらインターネットが運用。
新事業では、テルースの利用者から要望が挙がっている地球観測による高解像度の画像データやリアルタイムでの観測に近い高頻度データなどを買い取る予定。データを利用した新ビジネスの立ち上げを促すとともに、ビジネスに必要なデータがさらに高度化するという好循環が生まれると期待される。
また、データ提供事業者に対し、データ利用者が必要なデータだけを提供するように働きかける仕組みも検討する。
海外では利用者が欲しい地域のデータを切り出し販売する仕組みだが、日本では対象地域を含む広範囲の画像データを販売することが多い。データ提供事業者によるデータの販売方法を国際的な基準に合わせる狙いがある。
国内の宇宙ビジネスの海外展開に向け、国際競争力の向上につなげる。
日刊工業新聞2021年8月23日