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2500点の貯金箱を常設。 貯蓄と人々の暮らしを見る「世界の貯金箱博物館」

2500点の貯金箱を常設。 貯蓄と人々の暮らしを見る「世界の貯金箱博物館」

約2500点の貯金箱がテーマ別に展示される(手前は月替わりの特別展)

日本をはじめ欧米やアジア、中東など世界62カ国、約1万4000点を超える貯金箱を収蔵する尼崎信用金庫の「世界の貯金箱博物館」。日本で最初の貯金箱の博物館で、質・量ともに世界最大級を誇る。

貯金箱は作られた背景が色濃く反映され、時代の変遷を知ることができる。そこで、貯蓄と人々の暮らしの関わりを示す資料として貯金箱にスポットを当て、美術商や骨董(こっとう)商、得意先、同金庫の役職員からの購入や寄贈で収蔵点数を増やした。生活文化の資料と位置付けていたが、美術品として鑑賞に値するものも多い。創業時の本店(現尼信記念館)を改修し、1984年4月に「昔の貯金箱博物館」として一般公開した。その後、所蔵点数が7000点を超えたため、創業70周年記念事業で第2代本店を改修。90年12月に「世界の貯金箱博物館」として拡充オープンした。

常設の貯金箱は約2500点。テーマ別に12のコーナーに分類される。世界の貯金箱の移り変わりが分かるほか、アンティークなものや精巧な仕掛けが施されたものなどバラエティーに富む。来場者は大人から子どもまで幅広い。実際に仕掛けなどを体験できるコーナーは子どもたちに人気だという。ただコロナ禍で「今は見るだけで我慢してもらっている」(見通〈みとおり〉勉館長)。

月替わりの特別展は季節感を取り入れたり、夏休み期間中は子ども向けにしたりするなど工夫を凝らす。元本店の金庫室を生かし、和風の部屋に改造して活用。金庫室に入る機会はないだけに「扉を動かすだけで喜んでもらえる」(同)ようだ。

現在の場所に移って30年。6月に同金庫が創業100年を迎えた今も、収蔵品は増え続ける。キャッシュレス時代になり貯金箱の存在感もやや薄れがち。だからこそ展示を通じて「貯蓄の大切さを再認識してほしい」(同)と期待を込める。

【メモ】▽開館時間=10―16時▽休館日=月曜日、祝休日(土日と重なる場合は開館)、年末年始▽入館料=無料▽最寄り駅=阪神電気鉄道「尼崎駅」▽住所=兵庫県尼崎市西本町北通3の93▽電話=06・6413・1163
日刊工業新聞2021年8月16日

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