超小型人工衛星を制御する宇宙実験に挑む地方テレビ局の狙い

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衛星との通信に使うテレビ中継車両

福井テレビジョン放送(福井市、山田耕太郎社長)は、超小型人工衛星を制御する地上予備局の実証実験を始める。福井県が後押しする宇宙産業の創出構想に呼応し、テレビ中継車両を使い、免許不要の特定小電力無線による弱い電波での通信手法を確立する。通常の人工衛星用地上局を補完する需要と、将来は超小型人工衛星の通常局としての可能性を見据える。

福井大学、福井県工業技術センター、春江電子(福井県坂井市)などと連携し、2021年度の福井県補助金を含めた総額200万円で9月をめどに実験を始める。

通信する衛星は福井県工業技術センターや同県内企業が製作に関わったキューブサット級の超小型の2機。まず宇宙で活動中のルワンダの「ルワサット」で基本性能を実験。次に21年度中にアークエッジ・スペース(東京都千代田区)が宇宙に送る「オプティマルワン」を相手に、特定小電力無線などの弱い電波で指示を送り、機体の温度やバッテリー残量などのデータを地上で得る。先々は制御を全機能に広げるのが目標だ。

18年に東京大学が宇宙で実証した特定小電力無線によるデータ蓄積中継の応用形を狙う。福井大の青柳賢英准教授は「弱い電波が使えると、地上基地局の数が増やせる。さらに衛星の制御も可能なら、衛星利用の環境は大きく身近になる。小さな容量の指示データで働かせるソフトウエアを工夫する」と話す。

福井テレビは中継車両の天井部に衛星軌道を追尾する装置を搭載し、無指向性、指向性の複数アンテナで試験する。同社の水野忠和取締役は「衛星の関係者には予備局のニーズがある。超小型衛星が今後増えるのに合わせ、レンタル局の事業など、この仕組みで貢献したい」と述べた。

日刊工業新聞2021年8月4日

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