コロナで進む大学連携の教育改革。オンライン授業が「質」を変える

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大学連携による教育改革が新型コロナウイルス感染症を経て、大きく進展する状況になってきた。遠隔(オンライン)授業の浸透に加え、単位互換よりも踏み込んだ新たな仕組みも動きだした。派手な合併・統合でなくとも、教育の質を高める実質的な変化に期待したい。

政府の教育再生実行会議は、6月に提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」をまとめた。その中で大学教育のニューノーマルは、オンライン授業の効果的な活用だと強調した。対面授業との適切な組み合わせに加え、次は学習管理システム(LMS)により学びの内容や理解度を可視化することが期待される。

またオンライン授業で多くの人が実感したのは、優れた教員、コンテンツによる授業を特定の空間・時間を越えて、技術的に共有できることだ。各大学の主要科目は独自実施として、その他の多様なニーズにもオンライン授業ならコストを抑えて対応できる。提言ではこれまで進みが緩やかだった大規模公開講座(MOOC)や、「大学等連携推進法人」での大学間連携などの積極活用を強調した。

大学等連携推進法人は、複数大学が参画する一般社団法人から文部科学相が認定する新たな仕組み。目玉は参加大学間での「連携開設科目」だ。大学はそもそも主要科目を自ら開設するのが原則となっている。そのため他大学での科目履修を単位に認める単位互換制度でも、通常は自校で同様の科目を開設する必要がある。

しかし同法人内の強固な連携下なら、自校で用意せずに、得意科目を相互に担当し合える。今春に山梨大学と山梨県立大学の連携法人が認定第1号となったほか、各大学の教職課程を維持する目的で四国の5国立大も連携法人を設立した。

新型コロナで学生のキャンパス生活は、いまだままならない。しかしオンライン授業も新制度も大学側の投入資源を抑えつつ、時代と社会ニーズに対応した多様な学びを提供できるものだ。学生の学びを充実させる意識につなげてほしい。

日刊工業新聞2021年7月21日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

大学同士の連携教育において、行き来の距離や時間が問題にならないオンライン授業は今後、より重要な位置を占めるようになる。そもそも学士(学部卒)の学位取得には計124単位が必要だ。通学制大学はこのうち、「遠隔(オンライン)授業が可能な分は最大60単位」「最低64単位は対面授業」でとなっていた。この文科省令の学校設置基準は変わっていないが、今年の4月に「15コマ中7コマが遠隔という授業は、対面とみなす」という通知が各大学になされた。つまり「64単位分の対面授業といっても、その内訳の半分は遠隔でよいですよ」という話だ。「コロナが収束した後でも、ここまでオンラインでよいのか」と驚いた。それだけに「オンライン授業×大学連携」は教育の質を大きく変えるものとして、ぜひとも注目してほしい。

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