ニュースイッチ

【音声解説】はやぶさ2プロジェクトマネージャが語る惑星探査における日本のミッション

ニュースイッチは音声メディア「Voicy」で「ニュースイッチラジオ」を配信しています。ニュースイッチで反響をいただいた記事を書いた記者が解説する深掘りコーナーなどを行っています。配信は毎週火・木曜日の朝7時。アーカイブでいつでもお聞きいただけます。
19回目は「はやぶさ2プロジェクトマネージャが語る惑星探査における日本のミッション」について科学技術部の飯田記者が解説します。紹介した記事と合わせて音声配信をお楽しみください。
実際の放送はこちら↓↓↓

小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰還して半年が経過し、月内に小惑星「リュウグウ」で採取した試料の本格的な分析が始まる。試料のキュレーション(まとめ)作業では、分光分析などから水と有機物の痕跡を発見した。分析が進めば太陽系や生命誕生の謎に迫れる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネージャに、試料分析や今後の宇宙探査に対する期待を聞いた。

―月内にリュウグウで回収した試料の分析が始まります。

「とても楽しみにしている。元々掲げていた水と有機物由来の物質の発見だけでなく、思ってもみないようなことが起こってほしい。試料があるということは宝だ。悪戦苦闘しつつ採取してきた試料から、太陽系の謎が見えてほしい」

―飛行を続けているはやぶさ2の現状は。

「順調に次の惑星に向けて飛行しており、現在は地球から1億キロメートル以上離れている。ただ、リュウグウへのタッチダウン(着陸)の瞬間を撮影したカメラと、エンジンに搭載されたヒーターが故障した。劣化が見られるのは想定内。次はどこが故障しそうか対処方法などを検討している」

―世界の惑星探査をどう見ていますか。

「米国は国際宇宙探査計画『アルテミス計画』を主導し、中国は多くの探査機を打ち上げている。日本は真っ向勝負できるリソース(資源)がないのが残念だ。うまく戦うべき場所を見つけ、深く切り込むミッションをすべきだ。初代はやぶさから、はやぶさ2の打ち上げまでに約10年かかった。ミッション挑戦の頻度が上がらないと、同様の探査が今後できなくなるのではないかと心配している」

―日本向きのミッションとは。

「はやぶさ2のミッションは世界からの評価が高く、日本に潜在能力があることを示せた。日本は他国に比べ低コスト開発や運用ができるはずだ。世界が狙っていない小惑星などに注目し、探査の頻度を増加し加速すれば、日本の立場を確保できるだろう」

*取材はオンラインで実施。写真はJAXA提供

ニュースイッチオリジナル

編集部のおすすめ