半導体の模倣品を排除せよ!SEMIがブロックチェーンで供給網を管理へ

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SEMI、模倣品対策急ぐ

半導体業界の国際団体SEMIが、半導体のサプライチェーン(供給網)を管理する仕組み作りを急いでいる。模倣品の排除が目的。数年内にも業界共通の規格を策定し、ブロックチェーン(分散型台帳)で半導体の生産・流通履歴を管理できるようにする。“戦略物資”半導体の安定供給が各国政府の関心事となる中、供給網の透明性を確保する重要性が高まっている。(張谷京子)

従来、半導体の供給網の管理は、半導体メーカーやユーザーが企業間で行ってきた。ただ、半導体業界は国際的な分業が進み、供給網が複雑化。企業が単独で管理するのは難しくなっていた。

そこで、SEMIはブロックチェーンを活用し、業界共通の規格を策定。正規のルートを通って供給された半導体かどうか、把握できる体制を整える。データの不正な書き換えが難しいというブロックチェーンの特徴を生かす。

SEMIスタンダードトレーサビリティ委員会の角淵弘一日本地区共同委員長は「タスクフォースメンバーはアクティブに動いている。SEMIの中で、今一番ホットなスタンダード(規格作り)活動だ」と状況を説明する。規格作りはSEMI主導だが、日米の半導体メーカーやユーザーなどの企業が参画している。活動に意欲的という。

こうした動きの背景にあるのが、半導体の模倣品問題だ。米国の調査データによると、偽造半導体の流通金額は年75億ドル(約8200億円)に達している。悪徳業者などが半導体工場で出た不良品を市場に流通させたり、半導体の設計図を盗んで悪用したりする事例が発生。半導体ユーザーは不良品の販売、半導体メーカーは自社ブランドの毀損(きそん)などの影響を受けているようだ。

半導体の模倣品問題は以前からあったものの、自動車や通信機など半導体の用途の拡大とともに近年深刻化。SEMIジャパンの浜島雅彦代表は「半導体は今や人の生活そのもの。ルイ・ヴィトンやグッチの偽物とは次元が違う」と問題意識を強める。

さらに、半導体の模倣品問題は国の安全保障にも直結する。半導体は戦車や軍用機にも使われているからだ。角淵共同委員長は「米国サイドの話では、テロ目的で半導体の模倣品が流出している。ある期間が経つと誤作動が起きるようなものもある」と説明。模倣品排除の必要性が安全保障面でも高まっているという。

一方、SEMIが主導する規格作りは、半導体チップ向けに限らない。半導体製造に必要な装置・材料向けでも規格を策定中で、今夏にも成立する見通しだ。2次元バーコードラベルを活用。半導体製造用の装置や材料の容器にラベルを貼って、出荷先や製造拠点を把握できるようにする。

装置の交換部品や材料でも、模倣品は出回っている。業界共通の規格を策定することで、正規品を調達したい半導体メーカー、供給したい装置・材料メーカーのニーズに応える。

「半導体」「装置・材料」用の2段階構造で進んでいるSEMI規格。SEMIには世界の2000社以上が加盟していることもあり、規格成立による影響は大きそうだ。角淵共同委員長は「正しく競争してもらうためのプラットフォーム(基盤)作り。まともな半導体関連の業者は賛成してくれるはず」と期待を寄せる。

日刊工業新聞2021年6月23日

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