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新素材の開発に活用。NITEが微生物データ活用で新たな仕組み

製品評価技術基盤機構(NITE)は、細菌や酵母など微生物の情報のデータベース(DB)を利用し、企業や大学などが所有するデータと合わせユーザー独自のDBとして活用できるような仕組みを2021年度内にも始める。同じ業界の企業同士が各社のデータを持ち寄り、NITEが持つ5万株以上の微生物情報DBと合わせるといった活用を想定する。微生物の情報を幅広く探索し、新素材の開発などにつながると期待する。

NITEは、生物資源の全遺伝情報(ゲノム)や遺伝子、培養・代謝関連データを一元化するための基盤「生物資源データプラットフォーム(DBRP)」を利用して新たな仕組みづくりに着手する。同じ業界の複数の企業が集まり、微生物情報だけでなく、失敗した実験データなどネガティブな情報も複数の企業内だけで共有できる仕組みにする。他にも、企業や大学などが提供する情報の一部を公開し、外部からの要望があればパスワードを送付しアクセスできるようにすることなども検討する。

これらが実現できれば、無駄な実験のコストを減らせるため業界全体の研究開発力を押し上げられると見込む。

DBRPは、NITEのデータに味の素や静岡県、和歌山県、テクノスルガ・ラボ(静岡市清水区)が提供するデータを合わせ、5万3000株の微生物の情報が閲覧できる。今後、NITEは企業や大学で眠っている微生物データを収集し登録数を増やす考え。

近年、モノづくりにデータを利活用する動きが進むなか、ゲノム解読のコストの低下などで、生物機能のデータ化が大きく進展している。微生物の機能を人工的に設計した細胞を利用し、高機能性材料原料などの有用物質を大量生産する研究が行われている。

日刊工業新聞2021年6月10日

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