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「爆買い」ファイザー!どうするニッポンの製薬業界

日本、規模追求は不向きか
 米製薬大手のファイザーが、アイルランドの同業アラガンを買収することで同社と合意した。完了すればスイスのノバルティスを抜いて世界最大の製薬企業となる見込みで、業界の勢力図も塗り変わる。だが大会社同士のM&A(合併・買収)はリストラなどのリスクが大きいと指摘されており、他社では反対に事業範囲を絞り込む事例も目立つ。日本の製薬企業も世界市場が変化する中、自らの立ち位置と生き方が問われる。

私はこう見る


栄木憲和氏=医薬品経営コンサルタント(元バイエル薬品会長)

 ファイザーは将来、適正な規模で経営管理を行う観点から分社化する可能性もある。新薬、後発品、美容製品の3領域は(求められる知見などが)大きく異なり、同じ会社組織で運営するのは難しい。(分社分権化経営で知られる)米ジョンソン・エンド・ジョンソンのような構造にするのかもしれない。

 ファイザーとアラガンの統合が、すぐに日本の製薬業界に影響することはないと思う。ただ統合後は卸を囲い込むなど、供給網の垂直統合を加速して低価格な薬剤を患者へ供給することができるようになる。この流通モデルがやがて日本にも影響を与えるだろう。

 日本の製薬会社は研究開発に焦点を当て、価値創造型のバイオ医薬品企業を目指すべきだ。日本の企業文化や価値観は米国とは大きく異なり、規模の追求は不向きである。
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日刊工業新聞2015年11月25日「深層断面」から一部抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本の製薬メーカートップの中には「事業規模は新薬創出力と相関関係がない」という意見も一部にあるが、少々ひがみっぽく聞こえてしまう。

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