【COP21開幕直前】途上国支援でビジネスチャンスをつかめ
13兆ドルの低炭素市場が出現
政府は2030年度までに温室効果ガスの排出量を13年度比26%削減する目標を決めた。部門別に削減量が配分されており、工場など産業部門は6%減、温暖化対策が遅れているビルなどの業務部門と家庭部門はともに約40%減が求められる。日本化学工業協会の吉清元造技術部長は「製品での貢献を訴えてきた我々の訴えが通ったのでは」と話す。
化学産業は断熱材、LED照明や太陽電池の素材など低炭素化に貢献する製品を供給する。工場ばかりに排出削減が求められると生産ができず、社会の排出削減に貢献できないと主張してきた。産業部門の削減幅が少なかったことで「業務、家庭の削減に貢献できる」(吉清部長)。
他の業界にも貢献の機会がある。政府は26%減の根拠となる温暖化対策を公表した。ビルなら高効率給湯器の普及率を44%(12年度は7%)に高め、家庭なら燃料電池を現状の100倍の530万台を設置する。必要な投資額を37兆円(原油の削減量ベース)と試算しており、関連企業にはビジネスチャンスだ。
海外にも市場が広がる。途上国が気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて国連に提出した削減目標には資金援助などの”条件付き目標“が目立つ。世界3位の排出国のインドは資金援助や技術移転があれば電源構成の40%を非化石エネルギーにする目標を掲げる。インドネシアは29%削減する自力目標を、支援を条件に41%へ引き上げる。
国際エネルギー機関(IEA)は、すべての国の目標達成にはエネルギー分野に13兆5000億ドル(1620兆円)の追加投資が必要と分析した。支援策を通じて巨大市場を取り込める。
中国も途上国支援に前向きだ。9月末の米中首脳会談で、途上国の低炭素化支援に31億ドルの拠出を表明した。先進国が資金支援のため設立した「緑の気候基金」に日本は15億ドル、米国は最大の30億ドルを拠出する。中国は米国よりも1億ドル多く、しかも緑の気候基金とは別に支援するので、自国産業の受注に直結しやすい。インフラビジネスと同様、日本企業の強敵となる。
日本政府は低炭素技術を輸出する「二国間クレジット制度」(JCM)の実施で16カ国と署名している。みずほ情報総研の永井祐介コンサルタントは「JCMで築いた政府間のパイプも活用できる」と提言する。
化学産業は断熱材、LED照明や太陽電池の素材など低炭素化に貢献する製品を供給する。工場ばかりに排出削減が求められると生産ができず、社会の排出削減に貢献できないと主張してきた。産業部門の削減幅が少なかったことで「業務、家庭の削減に貢献できる」(吉清部長)。
他の業界にも貢献の機会がある。政府は26%減の根拠となる温暖化対策を公表した。ビルなら高効率給湯器の普及率を44%(12年度は7%)に高め、家庭なら燃料電池を現状の100倍の530万台を設置する。必要な投資額を37兆円(原油の削減量ベース)と試算しており、関連企業にはビジネスチャンスだ。
海外にも市場が広がる。途上国が気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて国連に提出した削減目標には資金援助などの”条件付き目標“が目立つ。世界3位の排出国のインドは資金援助や技術移転があれば電源構成の40%を非化石エネルギーにする目標を掲げる。インドネシアは29%削減する自力目標を、支援を条件に41%へ引き上げる。
国際エネルギー機関(IEA)は、すべての国の目標達成にはエネルギー分野に13兆5000億ドル(1620兆円)の追加投資が必要と分析した。支援策を通じて巨大市場を取り込める。
中国も途上国支援に前向きだ。9月末の米中首脳会談で、途上国の低炭素化支援に31億ドルの拠出を表明した。先進国が資金支援のため設立した「緑の気候基金」に日本は15億ドル、米国は最大の30億ドルを拠出する。中国は米国よりも1億ドル多く、しかも緑の気候基金とは別に支援するので、自国産業の受注に直結しやすい。インフラビジネスと同様、日本企業の強敵となる。
日本政府は低炭素技術を輸出する「二国間クレジット制度」(JCM)の実施で16カ国と署名している。みずほ情報総研の永井祐介コンサルタントは「JCMで築いた政府間のパイプも活用できる」と提言する。
日刊工業新聞2015年11月24日1面