三井化学が働き方改革で服装を自由に。Tシャツやデニムで出社し意見も多様化
三井化学はコロナ禍で服装自由化などを通じた働き方改革を加速している。オンライン会議を生かし、検討開始から3カ月未満で服装要領を改訂。工場の管理部門も自由に着席場所を選べるフリーアドレス化を実施し、副業を可能にした。さまざまな自由化によって、形式ではなく、働く事の本質や成果をより重視し、社内の活性化を図る。(取材・梶原洵子)
服装の自由化は、三井化学にとって最も象徴的な取り組みだ。化学業界は他業種より堅い印象だが、同社は2020年8月半ばに服装要領を改訂し、Tシャツやデニム、スニーカーも着用できるようになった。細かな規定を設けず、TPO・作業性・安全性・訪問先などを踏まえて、一人ひとりが自分で考えることにこだわった。
服装自由化プロジェクトを担当した名古屋工場管理部の山下枝里子さんは「経営層を含め、あらゆる立場の人が個性を出してコミュニケーションでき、会議でいろんな意見が出るようになった」と手応えを語る。
「制度改訂に普通は半年や1年かかり、内容を揉みすぎて話がなくなることもあった。今回、オンラインを活用し、拠点の壁を越え、短期間で実行したこと自体が成果だ」と、人事部企画グループの片寄雄介制度企画チームリーダーは話す。この経験は他のプロジェクトのスピードアップに生かせる。
同社の働き方改革は「自由にできることは自由に」が基本スタンス。業務に支障がなく、社員のモチベーションが高まるものは取り入れる。副業としてeコマースサイト運営を始めた人もおり、「自分が方針を考え、最終決定する責任が刺激になっている」(片寄チームリーダー)。
自由度が高まると、緊張感が薄れるなどの懸念もあるが、同社の場合は「働く事や成果の本質とは何か、考えるきっかけになった」(山下さん)という。
働き方改革で社内を活性化し、新事業の創出やポートフォリオ変革へ生かす。