自動車リサイクル制度見直しへ、新車購入時の負担金引き下げも
経済産業省と環境省は現行の自動車リサイクル制度の見直しに着手する。ユーザーが負担するリサイクル料金の引き下げや、自動車リサイクル促進センター(JARC)の運営基盤の強化を進める。プラスチックやガラスなどを素材として有効利用するマテリアルリサイクルを促進する施策も導入し、再資源化を加速する。
見直しに向けて自動車ユーザーから徴収する管理料金の変更やユーザーへの還元などが可能か、具体的な制度設計を進める。自動車メーカーがJARC運営のために負担していた費用の拠出もやめ、独立採算による運営体制へ移行する。
廃車となった車には鉄や非鉄金属など資源価値の高いものが多く、大半は再利用される。一方で破砕残さ(ASR)、エアコン冷媒のフロン類、特別な処理が必要なエアバッグ類の3品目は再利用されず処理費用が生じる。ユーザーは新車購入時に乗用車で1万円前後負担している。
現行制度では廃車が処理されず輸出に回ったり、ユーザーから集めた費用より実際の処理費用が低額化したりする傾向にある。結果的に自動車メーカーやJARCに剰余金や特預金が発生し、今後も増加傾向が見込まれる。
ASRに関しては多くが海外輸出や焼却処分されているが、中にあるプラスチックやガラスなど品目ごとに分類して有効利用するマテリアルリサイクルを進める。
解体業者や処理業者に分別処理を促す費用を支給する仕組みの導入を検討する。ASRの減量化と資源の再利用を進め、政府が取り組む資源の循環利用を加速する。
自動車リサイクル料金の適切な管理や運営は、24日に開く有識者会議の報告書案に盛り込む。今後のJARCの在り方を中心とした具体的な制度変更は、関係団体などを交えた協議の場を設けて進めていく。
日刊工業新聞2021年5月24日