1億円を投資した中小板金加工のDXが見えるショールーム
2021年3月に板金加工の次世代工場ショールーム「板金IoT・DX実証加工センター」を神奈川県厚木市に開設した。投資額1億1000万円と、年間売上高約4億円の当社にとって大きな決断だったが、この投資がターニングポイントになると考え、顧客開拓を目指し決断した。
当社は製造のIoT(モノのインターネット)化とデジタル変革(DX)を進めるソフトウエアの開発・販売を手がける。製造現場に3次元(3D)図面を軸としたソリューションを提供できる。だが、ソフトウエアはハードウエアと組み合わせて本領を発揮するため、起動中の画面を見せるだけでは意義が伝わらない。製品の魅力を明確に伝える方法に課題を持っていた。
当初は地方に営業所を設置する計画だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し計画を延期した。コロナ禍で製造のDX化への追い風を感じるとともに、中小の板金精密加工の多くが経営に苦しんでいる状況を打破したいと考え、生産性・利益率向上を実現する当社ソリューションを見える化し、社会に普及するためのセンター新設を決めた。
投資は自己資金に加え金融機関からの融資、自治体の助成金を活用した。生産管理などの既存運用システムを生かしたまま現場での具体的なDXを体感する場であり、顧客とともに新しい工場のシステムを作り上げる場でもある。センターを拠点として事業拡大を目指す。(談)
▽所在地=東京都中央区日本橋本町4の1の13▽売上高=約4億円(20年12月期)▽設立=14年(平26)3月
投資の概要
3Dプリンターを7台、協働溶接ロボットを1台、3D測定機を1台導入し、実演することでIoTとDXの効果を体感できる。このほかソフトウエア開発、土地・建物の賃借、建物の改築、新規スタッフの採用など体制を整えた。
日刊工業新聞2021年4月30日