ロボットシステムインテグレーターとの連携を拡充するダイヘンの狙い
ダイヘンは、産業用ロボットを提案するにあたって必要となるシステム構築について、国内生産の案件の6―7割を外部のロボットシステムインテグレーター(SIer)と連携して進めている。ただSIerにはそれぞれ専門分野があり、全ての現場に対応できるわけではない。そこでダイヘンは連携するSIerの幅を広げて、中小企業向け提案を強化する。
ダイヘンの産業用ロボット事業はこれまで、アーク溶接用途が中心だったため、連携するSIerも溶接専門が多かった。だがロボットの用途提案拡大のためには、多様な専門分野のSIerとの連携が不可欠となる。
近年、人手不足が深刻化する中小企業において、産業用ロボット導入が加速している。だが中小企業は投資余力が限られ、構築の要件自体があいまいなことも多い。そのためロボットだけでなく、用途に応じた機器とそのシステム構築を、いかにトータルで提案できるかがカギとなる。
こうした取り組みは必ずしも利益率向上に直結するわけではない。だがFAロボット事業部長の金子健太郎常務執行役員は、「中小企業では、工場の限られたスペースでなんとか自動化しようと苦戦している。そんな現場向けに汗をかきたい」と語る。長期視点で顧客との信頼性向上につなげる。
ダイヘンはロボットメーカーではあるが、SIerとしてのノウハウも蓄積しつつある。実際、国内生産の3―4割は外部のSIerを介していない。
同社のロボットの主力工場は六甲事業所(神戸市東灘区)。そこではロボットを使い生産ラインを自動化している。そこで培ったSIerとしてのノウハウを、顧客へのロボット提案に生かすという狙いもある。
欧米市場向けでは、システム構築をセットにしたロボット提案が増えてきた。2020年の独ラゾテックの買収も、そうした提案を強化するための取り組みの一環だ。国内でも同様の展開を強化できるかが問われている。
【企業概要】▽所在地=大阪市淀川区田川2の1の11▽資本金=105億9600万円▽売上高=1450億4400万円(20年3月期)▽従業員=3876人▽設立=1919年(大8)12月