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マテハン機器事業の部門を統合したダイフクが描く未来図

「オートモーティブ・エアポート事業部門」を新設

ダイフクは自動車向けと空港向けのマテハン機器事業の部門を統合した。自動車部門の管理職の一部を空港部門に振り向け業務改善を図るとともに、工場を相互活用して納期短縮やコスト削減を進める。新設した「オートモーティブ・エアポート事業部門」の部門長に就任した林智亮取締役常務執行役員に戦略を聞いた。(神戸・園尾雅之)

―統合の狙いは。

「空港部門は北米、欧州、豪州、ニュージーランドなどの海外企業をM&A(合併・買収)して事業規模を広げてきた。そのため各社の技術や製品を統合する際に、無駄なコストが生じやすい。一方で自動車部門は、自動車メーカーの厳しい品質要求に応えてきた経験豊富な人材が多い。人材リソースを共有して空港部門の利益率を改善する。両事業部門の海外工場も相互に活用して、最適地生産の体制を構築していく」

―自動車向けと空港向けでは製品自体が異なります。ノウハウ共有は難しいのでは。

「マネジメントという観点では同じだ。自動車向けではタイヤ、シート、バンパーなど多様なものを搬送する。空港向けの手荷物搬送システムなどとあまり変わらない分野もある。新体制下で、まずは足元で進めている日本の空港向け案件をスムーズに立ち上げる」

―自動車部門としてのメリットは。

「当社の自動車部門の主な納入先は、日本や北米の自動車メーカー。欧州自動車メーカーへ提案するため、空港部門の欧州工場の活用も選択肢の一つにある。地産地消が最優先だ」

―その欧州で、マテハンメーカーの独AFTインダストリーズと業務提携もしました。

「欧州自動車メーカー案件では、欧州規格の部材を調達した上で生産する必要がある。AFTのネットワークを生かして低コストで調達し、価格競争力を高めたい。欧州自動車メーカーの中国拠点や南米拠点への提案強化につなげていく」

―企業文化の違いをどう乗り越えますか。

「M&Aした会社は文化が根底から違う。それを統合するにはかなり高いレベルのマネジメントが必要だ。ありきたりかもしれないが、ダイフクブランドとして要求される安全品質や納期厳守体制を徹底する」

日刊工業新聞2021年4月8日

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