JALの空港接客ナンバーワンは福岡の田島さん
日本航空(JAL)は11月12日、国内外から集まった空港旅客係員(グランドスタッフ)が空港での接客スキルを競うコンテスト「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」の第4回目を、東京・羽田の同社第一テクニカルセンターで開催した。本選に挑んだ13人のうち、福岡空港で国内線を担当する田島由佳里さんが優勝した。福岡の優勝は第2回以来2度目。
隣への気遣いも審査対象
コンテストの第1回目は2013年2月、空港のチェックインカウンターを模した「空港サービスモックアップ」を同センター内に設けて1周年を迎えた際に実施。JALは2016年度までの中期経営計画で、JCSI(日本版顧客満足度指数)調査での顧客満足向上を目標の一つに掲げており、空港係員のサービス向上を目指して始めた。
JALには国内外合わせて約4500人の空港係員が在籍している。前回に続き海外からは9空港も参加し、11日の最終予選には国内外58人が出場。13人が12日の本選に進んだ。また、今回は保安検査部門も設けられ、羽田と鹿児島、新千歳の3空港から2人1組の係員が出場した。本選ではイレギュラー状況を想定したアナウンスと、カウンターチェックイン実技で、接客スキルを審査した。
カウンター審査では、危険物と知らずナイフを機内に持ち込むカバンに入れていたため、保安検査場からカウンターに誘導されたビジネスマンや、上司との出張で席の指定を任されて困惑する部下、近年増加する外国人客、列で待たされる乗客など、教官らが異なるタイプの利用者を演じ、どのように対処するかを審査した。また、出場者の隣でも接客が行われ、出場者自身が応対した利用者以外への気遣いが出来ているかも問われた。
審査の結果、福岡空港の田島さん(09年入社)が優勝。準優勝は成田空港の福島英峰(ひでたか)さん(14年入社)で、審査員特別賞には福岡空港国際線担当の緒方良美さん(01年入社)が選ばれた。男性の空港係員が入賞するのは今回が初めてで、福岡は出場した2人が共に賞を獲得した。保安検査部門は、羽田空港で警備を担当するにしけいの新井規晃さんと新海真弓さんのチームが優勝した。
優勝した田島さんには表彰状のほか、JALと同じ航空連合「ワンワールド・アライアンス」に加盟するアメリカン航空から、日米往復航空券がペアでプレゼントされた。
閉会式でJALの植木義晴社長は、「いつも感動させられるけど、コンテストだから勝利を得る者と得られない者がいる。得られなかった者は悔しがればいい。みんなが1年、一番を目指して頑張ればいい」と、サービスを競い合った出場者たちを激励した。
「ラグビーで言えばノーサイド、試合が終われば敵も味方もなく、みんなが仲間。そしてワン・フォー・オール。ひとり一人が全体のために力を尽くす。うちで言えば、みんなが会社のために力を尽くし、会社はみんなを一番大切にする。明日から、来年のこの日を目指して頑張ろう」と語りかけた。
本選に進んだ13人には、アルメリアの花をデザインした銀バッチが貸与された。アルメリアの花言葉は「おもてなし」。銀バッチはJALのおもてなしの模範となる空港係員であることを社内外に対して示すもので、歴代の本選出場者が着用している。
「彼女だけが気づいていた」(植木社長)
優勝した田島さんは入社7年目で、2011年の経営破綻を経験している。「いろいろな状況の中で、それでもJALを選んでくださっていたお客様や、今でも選んでくださる方がいらっしゃる中で、特別な能力も才能もありませんが、心を尽くすことだけは忘れないようにとがんばってきました」と、涙を流しながら優勝の思いを語った。
植木社長は田島さんを、「すごく自然体だった。待っている人にも“もう少々お待ちください”と声を掛けるなど、ほかの出場者が気づいていないことも、彼女だけ気づくことがいっぱいあった」と評価した。
本選で唯一の男性出場者だった福島さんは、「元気よく、普段通りにやろうとしました」と振り返る。JALの総合職で入社した福島さんは、さまざまな職種を経験していく一環で、1年半前から成田空港に配属された。「間接部門のような、お客様の顔が直接見えない部署に行っても、空港で会った方のことを思い出して仕事をしないと、JALを選んでいただけないです」と、空港勤務の大切さを話した。
福岡空港の緒方さんは国際線担当だが、現在JALは福岡発着の自社便を運航していない。このため、海外の航空会社のカウンター業務をJALの係員として担当。JALの制服を着ている以上は、JAL便の利用者と同様に接しているという。「仕事の時だけではなく、常に感謝の気持ちを持って行動することで、人にも自分にもやさしく出来ます」と話した。
「3本柱にこだわり続ける」
JALは今月、JCSI調査のうち、航空会社で構成される「国際航空」の顧客満足部門で第1位を獲得。同部門で1位を獲得するのは初めてだった。
植木社長は「どの指標を取るかは難しいが、中期計画では顧客満足と違う指標を2つ(再利用意向率・他社推奨意向率)採っていて、そこはまだ1位になっていない。来年必ず達成したい」と気を引き締めた。
1位獲得後については、「ずっと同じことを追い続けるだけ。1番目に安全運航、2番目に顧客満足。お客様に愛されなければ、航空会社は話にならない。そして3番目に財務基盤の安定。安全も顧客満足も投資が必要であり、誰かが払ってくれるものではない」と、“3本柱”にこだわり続ける重要性を語った。
隣への気遣いも審査対象
コンテストの第1回目は2013年2月、空港のチェックインカウンターを模した「空港サービスモックアップ」を同センター内に設けて1周年を迎えた際に実施。JALは2016年度までの中期経営計画で、JCSI(日本版顧客満足度指数)調査での顧客満足向上を目標の一つに掲げており、空港係員のサービス向上を目指して始めた。
JALには国内外合わせて約4500人の空港係員が在籍している。前回に続き海外からは9空港も参加し、11日の最終予選には国内外58人が出場。13人が12日の本選に進んだ。また、今回は保安検査部門も設けられ、羽田と鹿児島、新千歳の3空港から2人1組の係員が出場した。本選ではイレギュラー状況を想定したアナウンスと、カウンターチェックイン実技で、接客スキルを審査した。
カウンター審査では、危険物と知らずナイフを機内に持ち込むカバンに入れていたため、保安検査場からカウンターに誘導されたビジネスマンや、上司との出張で席の指定を任されて困惑する部下、近年増加する外国人客、列で待たされる乗客など、教官らが異なるタイプの利用者を演じ、どのように対処するかを審査した。また、出場者の隣でも接客が行われ、出場者自身が応対した利用者以外への気遣いが出来ているかも問われた。
審査の結果、福岡空港の田島さん(09年入社)が優勝。準優勝は成田空港の福島英峰(ひでたか)さん(14年入社)で、審査員特別賞には福岡空港国際線担当の緒方良美さん(01年入社)が選ばれた。男性の空港係員が入賞するのは今回が初めてで、福岡は出場した2人が共に賞を獲得した。保安検査部門は、羽田空港で警備を担当するにしけいの新井規晃さんと新海真弓さんのチームが優勝した。
優勝した田島さんには表彰状のほか、JALと同じ航空連合「ワンワールド・アライアンス」に加盟するアメリカン航空から、日米往復航空券がペアでプレゼントされた。
閉会式でJALの植木義晴社長は、「いつも感動させられるけど、コンテストだから勝利を得る者と得られない者がいる。得られなかった者は悔しがればいい。みんなが1年、一番を目指して頑張ればいい」と、サービスを競い合った出場者たちを激励した。
「ラグビーで言えばノーサイド、試合が終われば敵も味方もなく、みんなが仲間。そしてワン・フォー・オール。ひとり一人が全体のために力を尽くす。うちで言えば、みんなが会社のために力を尽くし、会社はみんなを一番大切にする。明日から、来年のこの日を目指して頑張ろう」と語りかけた。
本選に進んだ13人には、アルメリアの花をデザインした銀バッチが貸与された。アルメリアの花言葉は「おもてなし」。銀バッチはJALのおもてなしの模範となる空港係員であることを社内外に対して示すもので、歴代の本選出場者が着用している。
「彼女だけが気づいていた」(植木社長)
優勝した田島さんは入社7年目で、2011年の経営破綻を経験している。「いろいろな状況の中で、それでもJALを選んでくださっていたお客様や、今でも選んでくださる方がいらっしゃる中で、特別な能力も才能もありませんが、心を尽くすことだけは忘れないようにとがんばってきました」と、涙を流しながら優勝の思いを語った。
植木社長は田島さんを、「すごく自然体だった。待っている人にも“もう少々お待ちください”と声を掛けるなど、ほかの出場者が気づいていないことも、彼女だけ気づくことがいっぱいあった」と評価した。
本選で唯一の男性出場者だった福島さんは、「元気よく、普段通りにやろうとしました」と振り返る。JALの総合職で入社した福島さんは、さまざまな職種を経験していく一環で、1年半前から成田空港に配属された。「間接部門のような、お客様の顔が直接見えない部署に行っても、空港で会った方のことを思い出して仕事をしないと、JALを選んでいただけないです」と、空港勤務の大切さを話した。
福岡空港の緒方さんは国際線担当だが、現在JALは福岡発着の自社便を運航していない。このため、海外の航空会社のカウンター業務をJALの係員として担当。JALの制服を着ている以上は、JAL便の利用者と同様に接しているという。「仕事の時だけではなく、常に感謝の気持ちを持って行動することで、人にも自分にもやさしく出来ます」と話した。
「3本柱にこだわり続ける」
JALは今月、JCSI調査のうち、航空会社で構成される「国際航空」の顧客満足部門で第1位を獲得。同部門で1位を獲得するのは初めてだった。
植木社長は「どの指標を取るかは難しいが、中期計画では顧客満足と違う指標を2つ(再利用意向率・他社推奨意向率)採っていて、そこはまだ1位になっていない。来年必ず達成したい」と気を引き締めた。
1位獲得後については、「ずっと同じことを追い続けるだけ。1番目に安全運航、2番目に顧客満足。お客様に愛されなければ、航空会社は話にならない。そして3番目に財務基盤の安定。安全も顧客満足も投資が必要であり、誰かが払ってくれるものではない」と、“3本柱”にこだわり続ける重要性を語った。