電子部品メーカーの1-3月受注好調、通期業績は上振れへ
電子部品メーカーの2021年3月期連結決算の発表が22日から本格化する。自動車生産や設備投資の回復、高速通信規格「第5世代通信(5G)」の普及などを背景に、電子部品の需要は20年10―12月期に復調傾向が鮮明になった。21年1―3月期も引き続き好調な受注が続いたとみられる。1―3月を堅めに計画した上で通期予想を出したメーカーでは予想を上回る決算になりそうだ。
日本電産、村田製作所、京セラ、TDK、日東電工、ローム、ミネベアミツミ、太陽誘電、アルプスアルパイン、オムロンの主要10社のうち、今年に入り8社が21年3月期の営業利益予想を上方修正した。新型コロナウイルスの影響で20年4―6月期に前年同期を下回った営業利益が、同7―9月に持ち直し、同10―12月に一気に回復が進んだことを反映した。1―3月も「多くの分野で昨年末と同水準の需要が続いている」(関係者)との見方が多い。
村田製作所やTDK、太陽誘電などが手がける積層セラミックコンデンサー(MLCC)の2月の輸出額は前年同月比約15%増の451億円。20年9月以降、前年を約10―20%上回る状態が継続している。2月も「稼働日数の少なさを踏まえると、国内工場はフル稼働だろう」(同)。
自動車や携帯電話向けを中心に出荷が増加したとみられる。自動車の電装化や5G対応スマートフォンの普及などで、車やスマホ1台当たりのMLCC搭載数が増えていたところに、海外の個人消費回復が重なった。コロナ禍でサプライチェーン(部品供給網)全体のリードタイムが伸びていることもあり、最終製品の必要在庫が増加。電子部品の需要も伸びたもようだ。
「巣ごもり消費」の盛り上がりから家電やパソコン、ゲーム機向けが伸びているほか、「工場ロボットなど産業機械向けは10―12月より回復が加速している印象がある」(同)。これらの分野にモーターを供給する日本電産などにとっては、業績の押し上げ要因になりそうだ。
「1―3月は半導体不足の影響や物流の混乱、昨年からの反動減などを予想して、堅めの予想を策定した電子部品メーカーが目立った」(同)。年明け以降も需要環境に大きな変化がなかったことで、決算が予想を上回る企業も出てきそうだ。村田製作所が1月に公表した営業利益見通しは過去最高の2900億円。「好調な受注を踏まえると保守的な計画」(同)との指摘が出ている。日本電産も18年3月期の営業最高益(1659億円)を更新する可能性がある。