コロナ禍で減る「結婚」、式場サイト運営企業が始めた新たなアプローチ
コロナ禍で結婚する男女が減少している。厚生労働省によると2020年の婚姻数は約53万7000組と、前年比13%減。感染予防の観点から結婚式を挙げるカップルも減っている。そんな中、結婚式場サイト「Hanayume(ハナユメ)」を運営するエイチームが新たなアプローチを始めた。(名古屋・浜田ひかる)
エイチーム子会社のエイチームブライズに所属する諸岡希帆さん(29)は会員制交流サイト(SNS)「インスタグラム」などを通じてニューノーマル(新常態)の結婚式のあり方を紹介している。諸岡さんは約3万8000人のフォロワーを抱えるハナユメのインスタグラムの仕掛け人。ハナユメのコアターゲット層である25―34歳の女性は「私と同世代。直感を信じています」と、新しいアプローチに手応えを感じる。
最初は鳴かず飛ばずだった。フォロワー数を増やすため、意識したのは質より量。まずは多くのコア層に接し、知ってもらうことが重要と考えた。フォロワーが一定数に達すると「花嫁に役立つ、保存してもらえるコンテンツ作りに路線を変更した」(諸岡さん)。
結果として、SNSでの投稿に対する反応数(エンゲージメント数)が平均1%未満の中、ハナユメでは2%以上の成果をたたき出した。
コロナ禍で今、ハナユメは苦境に立っている。感染拡大で結婚式を挙げるカップルが減少したためだ。結婚式を開催するか否か悩むカップルも多く、エイチームによれば緊急事態宣言下の21年1―3月の結婚式を延期するカップルは約30%に上った。
業績にも影響が出てきている。エイチームの20年8月―21年1月期は、ライフスタイルサポートセグメントの売上高が前年同期比約10%減と厳しい結果だった。
「情勢が不安定だからこそ、カップルに寄り添えるかが重要だ」と諸岡さん。インスタグラムを活用し、コロナ禍で結婚式を開催したニューノーマル下の結婚式を紹介するほか、ウエディングプランナーが直接寄せられた質問に返答。すでに100件以上の質問が寄せられた。
今後について諸岡さんは「ウィズコロナでも理想の結婚式を開催できるよう手助けしていきたい」と意気込む。新たな思い出の形として前撮りやフォトウエディングなどの写真サービス「ハナユメフォト」の宣伝を強化。「カップルにとって、最高の思い出となるさまざまな形の結婚式を提案していきたい」と笑顔を見せる。