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石油元売り「合従連衡」佳境へ!?

16年4月から電力・ガスシステム改革が本格化。次はグローバル再編か
石油元売り「合従連衡」佳境へ!?

今年7月の出光と昭和シェルの会見。月岡出光興産社長(右)と亀岡昭和シェル石油社長

**出光・昭和シェル連合、16年上期にも誕生
 石油元売り国内2位の出光興産は7月30日、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから国内5位の昭和シェル石油の株式33・3%(議決権ベース)を取得すると発表した。取得総額は1691億円。出光は昭和シェルの筆頭株主となり、経営統合に向けた協議を本格化させる。統合が実現すれば、国内首位のJXホールディングスに迫り国内2強体制が誕生。市場縮小や過当競争で石油業界は低収益に苦しんでおり、今回の動きがさらなる業界再編を後押しする可能性がある。

 出光の月岡隆社長は同日の記者会見で「石油業界の社会的使命を全うするためにも昭和シェルがベストパートナーだ。シナジーを最大化させるためには、両社の経営統合こそが最適だ」と株式取得の理由を説明した。

 昭和シェルの亀岡剛社長も「世界、アジアの競争が厳しくなる中で、国内にしっかりとした収益基盤を獲得して世界へ乗り出していく」と統合による効果に期待を込めた。

 出光による昭和シェル株式の取得時期は2016年上期を予定。経営統合は取得後できるだけ速やかに実施する考え。統合方法は今後詰める。両社のブランドは当面維持。製油所の追加的な統廃合も計画していない。

 両社の売上高は合計で約7兆6000億円。国内におけるガソリン販売シェアは3割で、約7000カ所のガソリンスタンドを有する。売上高約10兆9000億円(金属事業を含む)のJXホールディングスに匹敵することになる。

石油製品の国内需要、18年度までに7・8%縮小


 製油所統廃合などの合理化や原料調達の効率化を進め、収益基盤を強化して海外展開を加速する―。出光興産と昭和シェル石油の経営統合協議は、国内需要の先細りという問題に直面する石油元売り企業の国際競争力を強め、世界の資源大手に対抗できる勢力を生むことを目指したものだ。2016年度以降、全面自由化が進む電力・ガス業界も巻き込み、海外の成長市場を狙える総合エネルギー企業の誕生に発展するかどうかが今後の大きな注目点となる。

 経産省は14年夏、供給過剰状態にある石油精製各社の国内製油所の原油処理能力を、16年度末までに業界全体で1割減らすように指示した。「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、13年度末まで各社が取り組んだ製油所再編に続く供給構造改革の第2弾となる。

 同省が14年に行った調査では、石油製品の国内需要は省エネ技術の普及などで、18年度までに7・8%縮小する見込み。各社の収益や精製能力が現状のままなら「本格的な過剰供給構造に陥る恐れが大きい」とし、資本や地域の壁を越えた事業再編に積極的に取り組むように促した。

 2社の経営統合は10年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、JXホールディングスが誕生して以来の大型再編劇となる。残る大手のコスモ石油や東燃ゼネラル石油にも再編の波が及ぶ可能性があり、そうなれば需要増大が見込める新興国などの市場で、欧米の資源大手に対抗できる勢力を生み出そうという経産省の思惑通りになる。

 国内では、小売りの全面自由化を柱とする電力・ガスシステム改革が16年4月から本格化する。石油を含むエネルギー業界は今後、世界市場も視野に入れた競争と合従連衡の時代に入る可能性がある。

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日刊工業新聞社2015年7月31日1&3面に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
一部報道でJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が経営統合に向け交渉に入ったと。当然の流れか。最終的に国内は2グループぐらいに集約されるのではないか。パリの同時多発テロなど世界経済の不安定化も予想され、国内素材産業全体で再編機運が高まる可能性が高い。

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