進化する日立ソリューションズ・テクノロジーの画像認識技術、3密防止で脚光
3密(密閉、密集、密接)防止策として画像認識技術が脚光を浴びている。日立ソリューションズ・テクノロジー(東京都立川市)は、カメラ画像から人物や危険物を検知し、距離を測定する「画像認識エッジソリューション」に、開発期間の短縮や概念実証(PoC)の早期実現を支援するツールを追加した。高い認識率と短期間・低コストで導入できる強みを武器に、ニューノーマル(新常態)の密集密接予防、現場の省人化に貢献するサービスとして拡販する。
人工知能(AI)を活用した画像認識技術は、ビッグデータ(大量データ)の学習により画像データの分類や推定ができるようになる。一方でAIの判断理由が分からず、認識率の向上に時間を要する場合も多い。
日立ソリューションズ・テクノロジーは画像認識ソリューションの提供を2018年に始めたが、「実証実験に時間を要することから、手軽で短期間に実用化できるサービスが求められていた」と、赤平治取締役は当時を振り返る。
そこで、認識率に悪影響のある不適切なデータを自動抽出・除外できる「データクレンジングツール」、誤認識の原因を明確化できる「誤認識分析支援ツール」を開発した。物体の誤検出や未検出の原因を可視化できるため、再学習の回数を減らし、開発期間の短縮化が実現できるようになった。
同社によると、AI学習データの品質向上により、約5000枚の学習データから不適切な学習データ約500枚を削除することで再学習の回数を7回から3回に削減できた。システムを採用した顧客も、検出精度の高さを評価しているという。
概念実証の早期実現に向け、物体の検出や結果の解析など、利用ニーズの高い機能をパッケージ化した。目的に合わせて機能を選ぶことで、システム構築の迅速化につなげた。
システムを小型化したいという要望に応えるため、米エヌビディアの半導体モジュール「ジェットソン・ナノ」をラインナップに追加。より小型で軽量、安価なAIコンピューターも対応可能にしたことで、システムの小型化も実現した。
赤平取締役は「新常態では、画像認識AIは人的作業を補完・代替し、3密防止を促進する役割を担う」と強調する。今後、製造現場の見える化や、モビリティーなどの自動操作・運転・遠隔操作などの実現につながる画像認識技術の研究開発を強化する。