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年賀状文化はこのまま衰退していくのか

紙製品に付加価値をつける挑戦を
 日本郵便は10月29日から2016年用のお年玉付き年賀はがきの販売を全国で開始した。総発行枚数は前年を下回る約30億2000万枚の見込み。年賀状の受け付けは12月15日からで、元日に届けるため同25日までの投函(とうかん)を呼び掛ける。

 東京・丸の内のJPタワーで、販売開始セレモニーが行われ、サッカー元日本代表の前園真聖さん(写真中央)とモデルの道端アンジェリカさん(同右)が参加。前園さんは「お世話になっている人に感謝を込めて、自分なりのメッセージを添えて送りたい」と語った。道端さんも「年賀状を送って、もらってハッピーな1年を過ごしてほしい」と話した。

今野印刷にみる活版印刷の「再発見」


日刊工業新聞2015年5月1日付


 100年前の技術で新市場を創出―。今野印刷(仙台市若林区)は、2011年にグリーティングカードのブランド「tegami」を立ち上げた。活版印刷を用いることにより生まれる暖かみや、日本のセンスが受け入れられ、米国を中心にのべ約60店舗と取引がある。今年1月には日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けフランス・パリの欧州最大級の見本市「メゾン・エ・オブジェ2015」に出展。現在、国内大手雑貨店との商談を進めるなど今後は国内の取引店舗を増やす予定で、海外からの“逆輸入”が実現しそうだ。

 今野印刷は仙台市で1908年(明41)年から印刷事業を営む老舗企業。印刷産業はペーパーレス化の波に押され、製造品出荷額が91年に8兆9000億円に対し、12年には5兆6000億円と約4割減少。商業印刷を手がける今野印刷も売り上げ減少に直面していた。

 5代目社長の橋浦隆一氏は99年に今野印刷に入社し、翌年に社長に就任した。減収分を補おうと、コンビニエンスストア、量販店向けの年賀状印刷事業を開始。今では東北地方の多くの店舗と取引があり、昨年度は約400万枚を印刷。売り上げの3割を占める事業に育て上げた。

オフセット印刷にない魅力、海外で人気に


 次は「独自ブランドで展開でき、海外市場を視野に入れた市場」(橋浦社長)としてグリーティングカードに狙いを定めた。クリスマスや正月などの年中行事や、感謝の気持ちを表すために友人や恋人、家族らの間で交わされるカード。欧米で広く普及しており、日本にも浸透している。

 「地方都市の中小企業が海外で実績を上げれば注目を集める」と考え、最初から海外市場を狙った。10年秋から準備をはじめ、11年1月には米国・ニューヨーク州を視察。順調に歩んでいたところ、東日本大震災が発生し、全ての印刷機械が使えなくなる事態に陥った。

 新事業どころではない―そんな空気が社内を包むなか、社長自ら「やろう」と決断。驚いた社員も多かったというが「たとえカラ元気でも元気を発信したかった」。同年、「tegami」ブランドを立ち上げ米国・ニューヨーク州のギフトショーに出展。以来毎年出展を続けている。
 
 出展を続けていくうちに、活版印刷技術を使ったカードの人気が高いことがわかった。活版印刷は同社創業時の100年前に使われていた技術。記念品として残されていた印刷機でカードを作ってみたところ、思いのほか人気が出た。橋浦社長は「1枚1枚風合いが違い手間もかかるところに、オフセット印刷にない魅力がある」と見る。

 何よりも、「100年前に使われていた創業時の技術でやることに意義を感じている」。生産能力を増強するため以前手放した中古機械を買い戻す予定だ。今後は、紙のカッティング技術も磨き、“紙製品に付加価値をつける”挑戦を続ける。
(文=仙台・森崎まき)
日刊工業新聞2015年10月30日 2面の記事を一部修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
最近、営業手法でDMが見直されているという。新聞社にいる身にとって「紙」がマスメディアの中心にいる時代ではなくなりつつあることを痛感する。ではインターネットは「マス」に向いているのか?「マスメディア」とはこれからどういう役割で、どのようなツールになるのか、を考えていかないといけない。

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