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TDKが電源の生産を国内回帰させる理由とは?

TDKが電源の生産を国内回帰させる理由とは?

中国、マレーシア工場との並行生産を開始したTDKラムダの長岡テクニカルセンター

TDKは、事業継続計画(BCP)対策の一環として電源事業の国内生産を強化する。子会社のTDKラムダ(東京都中央区)が中国とマレーシアで生産している基板電源と小容量のユニット電源の国内生産を始めた。災害や感染症拡大など不確定要素が発生しても、影響を受けない柔軟な生産体制を構築。中国では急拡大している現地の需要に集中できる。今後も複数拠点で並行生産できる体制を築く。

TDKラムダの主力工場である長岡テクニカルセンター(新潟県長岡市)と、その協力工場で基板電源と小容量のユニット電源の並行生産を始めた。現在の国内生産の実績は2020年5月末までの生産量に対して生産額で約27%、台数で約8%増産している。海外拠点との並行生産を始めるにあたり国内で50人を確保した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、20年1―3月に中国の無錫工場(江蘇省)の稼働が停止。同3―5月にはマレーシアのセナイ工場(ジョホール州)、クアンタン工場(パハン州)も稼働が止まった。海外量産部品の供給が滞り、納期遅れにつながったことから、国内での並行生産に着手した。一時的な対応策ではなく、継続的に続ける。今後は、北米や英国、イスラエルにある生産拠点での並行生産も検討する。

TDKはグループ全体で需要変動に応じた生産の適正化や災害発生時の対応を容易にするロケーションフリー生産体制の構築に着手している。生産工程の同一運用や自動化などを進めており、TDKラムダでの並行生産もその一環。

日刊工業新聞2021年2月16日

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