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環境規制強化で米国で自動車向けアルミ投資へ動く

神鋼は鍛造部品、UACJはアルミ板の圧延を増産
環境規制強化で米国で自動車向けアルミ投資へ動く

KAAP(カープ、ケンタッキー州)

 神戸製鋼所三井物産豊田通商の3社は4日、米アルミニウム鍛造拠点のKAAP(ケンタッキー州)で自動車サスペンション用アルミ鍛造部品の生産能力を月間54万本から約4割増の同75万本にすると発表した。環境規制が強まる中、自動車の軽量化ニーズに伴う需要増に対応する。総投資額は隣接地の取得と建屋の新設を含め約5660万ドル(約68億円)。2017年から順次稼働させる。

 現在、KAAPは溶解鋳造が2ライン、鍛造プレス6基の体制で操業している。今回、溶解鋳造を1ライン、鍛造プレス2基を追加する。さらに、隣接する12万平方メートルの土地も取得し、延べ床面積が約1万800平方メートルの建屋を建設する。従業員も100人ほど増やす。

 UACJは北米でアルミニウム板の圧延能力を増やす。米子会社のトライアローズアルミニウム(ケンタッキー州)が米ローガンアルミニウム(同)に2億4000万ドル(約290億円)を投じて鋳造能力を増やす。現地で今後の需要増加が見込まれる自動車や缶材向けの供給体制を強化する。新建屋に鋳造ラインを新設するほか加熱炉などを設け、16年半ばから順次稼働する。追加で5000万ドル(約60億円)の投資も検討する。
日刊工業新聞2015年11月02日/05日 素材面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
原油安を背景に、米国の自動車販売は「快走」を続けている。一方で、米国では2025年に向けて二酸化炭素(CO2)排出量の低減を求める「企業平均燃費(CAFE)規制」が段階的に強化され、自動車車体の抜本的な軽量化が不可欠となる。17-18年にかけて、本格的な投資競争が始まりそうだ。

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