三菱電機が挑むローカル5G移動ロボット実証、無人搬送車を使わず低コスト狙う
三菱電機は今春から第5世代通信(5G)を地域限定で使うローカル5Gを活用した移動型ロボットの実証実験に乗り出す。情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)で新たに5Gの免許を取得し、自動制御技術などを確立する。高額な無人搬送車(AGV)やシステムを使わずに低コストで導入可能な5Gソリューション開発を目指す。
三菱電機は情報技術総合研究所を対象に屋内外で使用可能な4・8ギガ―4・9ギガヘルツ(ギガは10億)帯の周波数の免許申請を総務省に行った。20年度中の免許取得を予定。この周波数帯は電波を遠くまで飛ばせて通信エリアを広く構築できるほか、障害物を回り込む性質も持つ。
同社は同研究所内に「5Gオープンイノベーションラボ」を今春開設する。第1弾の5G実証として簡素な台車をベースに、その上に搬送や警備など用途に応じた機器を搭載した簡易型ロボットの自動制御などに取り組む。倉庫や工場内で現在使われる一般的なAGVは構内の地図を作製して自律走行するなど高性能だが、価格が1台当たり300万―400万円以上するため普及の妨げになっているという。
同社は無線通信でロボットを制御することで、高価なAGVを使わない自動化ソリューションを目指す。22年度以降の事業化を検討する。ほかにも、顧客やパートナー企業と共同でローカル5Gの実証を計画。
同社は20年に名古屋製作所(名古屋市東区)において別の周波数帯でローカル5Gの免許を取得済み。基地局とFA機器との無線通信伝送性能の技術検証などを進めている。
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