セイコーエプソンや三菱重工も!昨年の環境債が初の1兆円突破、“脱炭素”路線が後押し
環境事業に資金を使うことを目的とした債券「グリーンボンド(環境債)」の国内発行額が2020年、初めて1兆円を超えた。セイコーエプソンが700億円、三菱重工業も250億円と国内では大型の発行があり、前年比2割以上の増額となった。50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする政府方針が出たこともあり、発行が急増した。
グリーンボンドは環境問題を解決する資金の調達手段として発達した。発行した自治体や企業は省エネルギー設備への更新や再生可能エネルギー事業に必要な資金を調達できる。ESG投資の“E(環境)”として認知され、生命保険などの機関投資家がグリーンボンドを購入している。
環境省の集計によると20年の国内の発行総額は1兆168億円だった。2年前の18年と比べても2倍近くに急増した。また20年の発行は合計76件。前年比31%増、18年比では2・2倍に拡大した。
日本でのグリーンボンドの発行は18年から本格化したばかり。20年は1件当たり100億円以上の発行が目立ち始めた。エプソンは20年に発行して調達した700億円で工場への太陽光発電設備の設置や再生エネ電気の購入、省エネ型商品の品ぞろえを強化する。
三菱重工は調達した250億円を水力や水素、地熱発電関連の資金に充てる。ホンダファイナンスも300億円を調達し、30年までに販売する自動車の3分の2を電動化技術搭載にするホンダの目標達成を後押しする。
世界の19年の発行総額は2654億ドル(26兆円)。20年も同水準とみられ、欧州やアジア太平洋地域で急速に普及している。脱炭素の達成には巨費が必要となっており、金融市場からの調達が不可欠。菅義偉首相が18日の施政方針演説で巨額の環境投資を呼び込む金融市場の枠組みを作ると宣言したこともあり、21年も発行の勢いは続きそうだ。