業績予想を上方修正の丸紅、社長が目指す「爆発的な成長」
「20年3月期に大きな減損損失を出し、今期はお客さまや市場の信頼を取り戻すことを最優先にして取り組んできた。国内では新型コロナウイルス感染拡大の第3波が来ている。21年度後半からの経済回復という見方もあるが、22年度へと多少ずれ込む可能性もある。緊急事態であることは変わらず、慎重に取り組む」
―セグメント別の状況はいかがですか。「エネルギーや化学品などトレードビジネスが堅調だったほか、食料などライフライン関連がしっかりやってくれた。航空機関連は大きな打撃を受けた。自動車関連は展開する地域や事業によって濃淡があった」
―19年度からの中期経営戦略でどのような投資を行っていますか。「例えば、ベトナムで段ボール原紙やインスタントコーヒーの製造販売事業、米国で牛肉加工のクリークストーンファームズの能力増強といった投資を進めてきた。投資実行済み、決裁済みの新規投資案件は4000億円超で、既存事業領域『ホライゾン1』のCAPEX(追加投資)までを含めると、7000億円程度は既に決裁済みになっている」
―次世代事業開発やデジタル変革(DX)の取り組み状況は。「分野も絞り込めてきており、10年後の爆発的な成長を目指して取り組んでいく。DXでは20年度から、次世代事業開発本部にあったデジタル・イノベーション室をCDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)傘下に移管し、CS(コーポレートスタッフグループ)としたことで、各営業部からのアクセスをしやすくした。社員がDXの理解度を高めていく施策も実施しており、さらに強化していく」
―米バイデン新政権登場での影響をどう見ていますか。「カーボンニュートラルについては(自然な流れで驚きはなく)より一段と進んでいくだろう。丸紅では既に水素やアンモニアなどの実証実験に参加しており、対応を着実に進めていく」
【記者の目/次世代関連の動向注視】
エネルギーの業績改善や食料、化学品などが堅調に推移していることを反映し、21年3月期の当期利益見通しを上方修正した。次世代関連では、どういった分野が柿木真澄社長の言う爆発的な成長のけん引役となれるか。その動向を注視したい。(浅海宏規)