ニュースイッチ

“空飛ぶクルマ”にも!トヨタ紡織が高出力リチウムイオン電池の生産を年1000個へ

トヨタ紡織は、開発中の高出力リチウムイオン二次電池で2021年度内に年1000個の生産体制を整える。19年度末に刈谷工場(愛知県刈谷市)で完成した試作ラインの生産能力を順次引き上げ、従来の試作レベルから量産レベルで製品を作れるようにする。スポーツ車や商用車、空飛ぶクルマといった高出力を必要とするモビリティー向けに、2―3年内にも事業化したい考えだ。

トヨタ紡織のリチウムイオン電池は、ハイブリッド車(HV)用電池ほどの大きさと容量でキャパシター並の高出力性能を出せ、発熱量が低い点が特徴。独自の微細繊維技術と精密プレス加工技術を活用して開発した。

20年度中に量産を前提とした試作品を完成させ、顧客へのサンプル出荷を始める計画。客先での実証評価を進めつつ、21年度中にも年産1000個に対応できる量産試作ラインの立ち上げを目指す。

すでに数社のスポーツ車メーカーと採用に向け交渉を進めている。このほか商用車や空飛ぶクルマなど、発進時や離着陸時に大きなエネルギーを必要とするモビリティーでのニーズを見込んでおり、提案を加速する。

カーボンニュートラルの実現に向けて電動車の普及拡大は加速しており、車載電池には性能向上や原価低減に加え、今後は用途に応じたさまざまな性能が求められると予想される。車載電池分野への参入や開発競争が激化する中、各社の技術革新や投資判断への注目は高まりそうだ。

日刊工業新聞2021年1月20日

編集部のおすすめ